2018年10月4日木曜日

恋する力

藤本ひとみ『恋する力』は現代日本の就職氷河期世代の女性を主人公とした恋愛小説である。いかにも恋愛小説風のタイトルであるが、朝から晩まで恋愛ばかりの話ではない。むしろ労働が自己実現にならない就職氷河期世代の生き辛さが描かれている。
少女漫画のような甘さはない。桶川ストーカー殺人事件を彷彿とさせる危ない人物も登場する。不倫の話もあるが、それほどドロドロしていない。
主人公はパラリーガルである。債務整理中心の法律事務所で味気ない仕事をした経験がある。パラリーガルを搾取するブラック弁護士法人も現実に存在しており、主人公の満たされない気持ちは共感できる。
私にとって著者の作品と言えばフランス歴史小説である。本書は現代日本が舞台であるが、ナポレオンの話が随所に出てくる。フランス歴史小説を書いている著者らしさがある。

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