2018年9月13日木曜日

地理9月号

地理9月号は「都市×若者×観光」を特集する。直近では台風21号と北海道地震という大ニュースがあるが、本書には反映されていない。日本社会には全員総出で目の前の火を消すことに注力するような近視眼的な傾向がある。本誌の月刊誌という時間軸は落ち着きを与えてくれる。
金延景「若者の新たな観光・レジャー空間としてのエスニックタウン」は大久保コリアタウンを取り上げる。近年は海外旅行離れが指摘されるが、異文化への関心が薄れている訳ではなく、コリアタウンのような身近な消費意欲は旺盛である。マイルドな辛さが人気のチーズタッカルビのように日本人の嗜好に合わせたというメリットもある(37頁)。スポットを回るだけの海外旅行以上に地に足着いた体験になる可能性がある。
磯野巧「若者によるインバウンド需要への対応」は渋谷駅周辺の外国人観光客向け街頭ボランティアガイドを紹介する。外国人観光客にとってハチ公像やスクランブル交差点は撮影スポットであるが、多くの観光客は撮影したら別の場所に行き、渋谷の消費に結び付かない。そのためにボランティアガイドの意義は大きいが、渋谷駅の案内が多い(53頁)。渋谷再開発によって渋谷駅は日本人でもうんざりするほど複雑になり、不便になった。その尻拭いをボランティアがしているならば、ボランティアの活発化を喜べない。ボランティアに成り立っていること自体がシステムの欠陥を示すことになる。

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