2018年8月30日木曜日

銀河英雄伝説2巻

藤崎竜『銀河英雄伝説』2巻はカプチェランカの戦いである。原作の本編はアスターテの戦い以後を描き、それ以前の話は外伝で描いた。本作品は時系列に沿って描くようである。
第1巻では先を見通した小悪魔的なところがあったラインハルトであったが、ここでは帝国の腐敗に怒る激情家である。ラインハルトは決して聖人君子ではない。激情家にラインハルトらしさを感じる。
帝国の腐敗の描き方は石黒版アニメと異なる。石黒版アニメは権力と暴力が弱者を虐げる明確な横暴が描かれた。対するラインハルトやキルヒアイスは無法には無法に対抗した。ところが、本書は心ならずも不正に手を染める組織人の事情やラインハルトが言動によって組織人を感化させる様相を描く。自己の無能やミスを組織の事情で言い訳し、相手に負担を押し付ける日本の公務員が喜びそうな展開である。これはラインハルトらしくないと感じる。ラインハルトは組織人の言い訳に同情するよりも、そのような組織人に負担を押し付けられた側に同情するだろう。服従は承認と同じという厳しさを持った存在ではないか。

2018年8月29日水曜日

戦国の秘話

『戦国の秘話』は戦国武将を一章一人の形で取り上げ、その秘話を語る小説である。取り上げた武将は毛利元就や徳川家康のような成功者だけではない。足利義昭や織田信雄のように評価の低い人物もいる。加藤清正は評価の高い人物であるが、あまり自慢にならないエピソードを取り上げている。越前の朝倉義景は単純な無能に描かれがちであるが、そのようになった理由を本書は描いている。
松永弾正は意思の強い人物のイメージがある。平蜘蛛の茶釜を抱えて自爆したエピソードは彼の意地を示している。ところが、本書では、そのエピソードは語られない。代わりに家臣に流されて信長を裏切っている。
明智光秀が本能寺の変を起こした動機を領地を取り上げられたこととする。親方日の丸の公務員として安定を求めるのではなく、一城の主として領地を経営したい武士の意識を示している。明智光秀の悲劇は信長の配下の武将に共通したものだった。本書の滝川一益も重なる。松永弾正も一般には上手に立ち回った人物と見られるが、本書では信長にこき使われ、利用されるだけ利用されたと自己評価している。信長を裏切らなければやっていけないところだろう。

住環境を破壊するマンション建設工事は自分達に欠けているものを騒音と不協和音で補おうとしているようでした。

2018年8月27日月曜日

GS美神極楽大作戦2巻

椎名高志『GS美神極楽大作戦!! (2)』は六道冥子とドクター・カオスが登場する。小笠原エミよりも二人の方が先に登場していたことは意外だった。ライバルキャラを先に出しそうなものである。
本作品は美神令子の唯我独尊の振る舞いによって周囲が不幸になるパターンが基本である。ドクター・カオスの話も同じである。ところが、六道が登場すると、美神が六道に振り回されて不幸になる。これは新パターンである。
1話完結の話が多いが、時間を遡る話は中編である。毒を食べた横島を美神が普通に心配して対処法を伝えていることが意外であった。思っていたよりは優しい。

中野相続裁判

茶道具はバラで販売され、取引されている。
母の夢、母の意思に反したリフォーム、危険になったリフォームの順にする。妥協の産物ではない。
相続は亡くなった時点の財産評価になる。
私には遺言書を強制的に書かせたようにしか思えません。そうであったのではないかとの疑問が溶けません。
弟子から聞きました。軽々しく話す人ではありません。これを先に出す。入院中の母が言っていたことは、このことだったのかと理解しました。
所有権移転登記の申請書類の筆跡の違い。贈与契約書の不存在。
長男は母を利用するだけ利用した。

迷惑勧誘電話

さいたま市桜区民の生活の中の困り事として迷惑勧誘電話の話を聞きました。自宅固定電話には電話・インターネット回線の迷惑勧誘電話がかかってきます。勤務先にはマンション投資の迷惑勧誘電話がかかってきます。電話・インターネット回線とマンション投資が迷惑勧誘電話の双璧です。どちらも勧誘であることを最初に言わない点で悪質です。また、どちらも相手を知らずに電話番号だけでかけています。電話を続けることで消費者から個人情報を引き出していきます。それ故に住所などの情報を話してはいけません。
消費者センターなどに相談することは有効です。会社名や担当社名を聞き出して下さい。NTTやauなど大手通信会社を騙ることがあります。代理店ではないか確認して下さい。
相談すると動かない場合でも、事例として蓄積されます。Google裁判では消費者センターに事例があることで、詐欺との検索結果が相当程度真実であるとされました。

GS美神極楽大作戦

GS美神極楽大作戦はゴーストスイーパーの活躍を描く漫画である。週刊少年サンデー連載作品。アニメ化された。
バブル経済の残り香が感じられる作品である。悪霊が開発の妨げになっており、それをゴーストスイーパーが除霊する。
長期連載作品には共通するが、第1巻のキャラクターの絵は、その後とは異なっている。美神も横島も何か違う。キャラクターが乗っていないという感じである。第1話の、おキヌちゃんは怖い性格である。
第1巻では小笠原エミや六道冥子らレギュラーキャラクターが出てこない。第2話、第3話とレギュラーキャラクターの紹介話になっている漫画もあることと比べると息が長い。
巻末に読み切りプロトタイプ作品が掲載されている。これは完成度が高い。横島の裏切り、それを折り込み済みの美神、裏切りが露見した際の横島の態度が盛り込まれている。

2018年8月26日日曜日

軍靴のバルツァー5巻

中島三千恒『軍靴のバルツァー』5巻は退却戦が描かれる。安全なはずの駐屯地に敵のホルベック軍が奇襲。止むなく撤退を決意したバルツァー達に容赦なく精鋭騎兵部隊が襲いかかる。
この時代よりも前の時代に軍隊が進出した農村は悲惨であった。三十年戦争が代表的である。略奪暴行が当然の如く行われていた。それに比べると、この時代は遥かにましである。本書では条約で保護されていると説明されている。
これを時代が進むと人間が理性的になる進歩主義的な歴史認識で説明することはできない。第二次世界大戦の占領下の民衆は悲惨であった。略奪暴行が当然になっていた。悲惨な時代に挟まれた珍しい時代と言えるだろう。日清戦争における旅順虐殺のような事件もあり、近代の戦争が良心的とは言えないが、後の時代の戦争が大量殺戮となり、精神が荒んでいくことを予感させる結末になっている。
主人公が実践した戦術は第一次世界大戦の陣地の戦いを先取りしたものである。塹壕戦についても質問で言及されており、今後登場しそうである。戦争に華々しさを求める中世の騎兵が拒否感を持つことは当然として、主人公も変化におののいていた。

2018年8月25日土曜日

勁草の人戦後日本を築いた財界人

『勁草の人 戦後日本を築いた財界人』。戦後の重大な経済事件が描かれる。そのため、戦後経済史に関心のある向きには面白い。
しかし、人脈が全てで、需要と供給やコストなど経済人らしい話は乏しい。20世紀の話であって21世紀には通用しないだろう。それでも重厚長大産業に融資していた日本興業銀行を東京ディズニーランドに融資させるなど経済のサービス化、ソフト化を見越した先見性はある。
冒頭から総理大臣との関わりが描かれるように政治家や官僚との関わりが濃い。中山が関わった訳ではないが、ロッキード事件やリクルート事件など政治と金の問題も登場する。昭和の官僚主導経済の中で活躍したとの印象を強くする。山一証券を日本銀行に救済させたことが手柄話のようになっているが、その後の破綻を知っている現在から振り返ると護送船団方式のドグマに囚われていないか。
本書を読む前に同じ著者の『不撓不屈』を読んでいた。国家権力の弾圧と断固戦った税理士の物語である。普段から公務員と付き合わなかった彼の清廉な印象が残っているため、落差を感じる。
中山は頭取を退任後は相談役や特別顧問になった。本書は頭取退任後の話が中心である。地位ではなく、人物に人が集まると見れば美しい。しかし、悪いケースでは老害のドン支配、ボス支配となる。少し前の都議会自民党や最近の日本大学のようなドン支配の弊害が大きな問題となっている。

2018年8月23日木曜日

軍靴のバルツァー

中島三千恒『軍靴のバルツァー』は19世紀の統一前のドイツ風の架空の世界を舞台をした戦争漫画である。主人公はプロシア(プロイセン)をモデルとした軍事国家ヴァイセンの若手将校である。同盟国バーゼルラントに士官学校教官として赴任する。赴任先の国はヴァイセンと比べると軍事的には後進国で、ヴァイセンは併合の野心を隠し持っている。この設定だけではバーゼルラントに感情移入したくなるが、この国の士官学校は旧日本軍的な奴隷兵士を作る軍隊教育を行っていた。それは軍国主義的な筈のヴァイセンの将校でも眉をひそめたくなるものであった。ヴァイセンの将校の方が、はるかに合理主義であった。
私はプロシア風の官僚主義を嫌悪している。これは明治日本が手本としたもので、個人を抑圧する日本の官僚制の原点となっているためである。しかし、日本大学に見られるようなドン支配の日本的集団主義はヴァイセンよりもバーゼルラントに近い。外部の目に晒されていない小集団は偏狭になりやすい。やはり情報公開が改革の一丁目一番地になると感じた。

治療院ウェブ集客の成功法則

杉原智之『新規&リピーターがどんどん増える 治療院「ウェブ集客」の成功 法則』はWebを中心に整体院を繁盛させる秘訣をまとめた書籍である。著者は母親の整体院のホームページ作成を手がけ、そこから他の整体院のコンサルもするようになった。その経験に基づく書籍であり、説得力がある。
本書は一般的な宣伝文句よりも、例えば腰痛などに特化して、狭い分野でもナンバーワンを目指すことが良いとする。選択と集中である。本書は整体院や接骨院を念頭に置いているが、他の業種も学ぶ価値がある。
また、本書はWeb戦略が中心であるが、ビジネス全般の指針も提示する。借金をしない、固定費をかけないことは基本である。
本書はリピート客を重視する。これはビジネスの基本中の基本である。一生に一度あるかないかの買い物でリピート客を期待しにくい不動産取引でサービス業精神に欠けた問題業者が出やすいことは筋が通る。
本書は以下の指摘もしている。「販売側がセールスをすればするほど、今の時代はお客様が逃げてしまうリスクもあります」(210頁)。これはマンション投資などの迷惑勧誘電話に聞かせたい言葉である。

2018年8月22日水曜日

はたらく細胞

赤血球や白血球にはモラトリアムの子ども時代があるが、血小板は子どもの頃から働いている。血小板は大変である。
細胞を擬人化するというコンセプトから、赤血球や白血球のビジュアルは想定可能であるが、血小板やマクロファージはユニークである。

2018年8月19日日曜日

北海道暮らしと産業のいま

雑誌『地理』2018年8月号は「北海道暮らしと産業のいま」を特集する。
五十嵐和也「グローバル」ではグローバルな課題を生徒にとって実感のある題材や地域にまで落とし込んだ授業を目指す(115頁)。消費者の多くは輸入農作物よりも国産農作物を好むが、国産農作物が外国人実習生の労働に依存している実態はあまり知られていない(118頁)。
スペインのコルドバを紹介した記事ではイスラムをギリシア・ローマ文化を現代に伝える架け橋と評価する(田中總太郎「コルドバの歴史地区」95頁)。アニメfateZeroではアレキサンダー大王をイスラム風のイスカンダルと称している。単にイスカンダルの響きの新鮮さから採用されたものと思うが、イスラムがギリシア文化を伝えたと考えれば意義深い。
巻頭のカラーページでは大阪北部地震の報告がある(池田碩「大阪北部地震の被災地を歩く」)。西日本豪雨災害が直後に起きたために忘れられがちであるが、ブロック塀の倒壊など重要な教訓がある。タイムリーにアップデートできない月刊誌だから逆に目の前の事象に流されずに取り組める。
津波防災の記事が興味深い(橋本雄一「津波防災と自治体・住民の対応」)。北海道を対象とした研究であるが、内容に普遍性がある。津波対策として津波避難ビルが注目されている。しかし、シミュレーションの結果、避難ビルの階段入口で15分から30分程度滞留し、津波到達予想時間である地震発生後30分以内に多くの住民が避難ビル内の安全圏まで到達できない可能性があると指摘された(67頁)。住環境を破壊する超高層マンション建設に対して、津波避難ビルになると正当化する主張があるが、本当に近隣住民の役に立つのか吟味を要する。

約束のネバーランド2巻

『約束のネバーランド』2巻は脱出に向けた準備を進める。ただ脱出を目指すだけでなく、脱出後のことも考えている。一方で子ども達の中にママへの内通者がいるとの疑いも生じる。
舞台は「グレイスフィールドハウス」と呼ばれる孤児院。そこはイザベラというママがいて、子ども達が幸せに過ごす孤児院だった。しかし、子ども達は「幸せな家庭」に「養子に出される」という嘘の説明で凶悪な鬼に食べ物として出荷されていた。

作品によっては2巻で中だるみし、失速するものもあるが、本作品は緊迫感が高まる。味方と敵がスパッと分かれないところが深い。一致団結して目の前の課題を解決するという特殊日本的集団主義に陥っていない。一番の味方になる筈の存在とも駆け引きしなければならないことは疲れるが、作品としては面白い。
主人公だけでは知識が不足している。情報の提供者がいなければ難しいが、無理矢理お助けマンを登場させると御都合主義に陥ってしまう。この巻の内通者のような立ち位置は面白い。

2018年8月18日土曜日

不撓不屈

高杉良『不撓不屈』は国家権力と断固闘った飯塚毅・税理士の物語である。官僚の横暴や傲慢がこれでもかと描かれる。自分達の面子しか考えない公務員のいやらしさが描かれる。
公務員が作文した虚偽内容の文書に捺印を強要するなど弾圧の手口が描かれる。勾留中の被告人の取り調べでは弁護士の悪口の悪口を言い、弁護士と被告人の離間を図る(221頁)。
渡辺美智雄代議士の国会質問では公務員の手口が批判された。「交通事故だって警察官は道路に立ってないで、わざわざ電信柱の陰にみな隠れていて、あれは踏切で一時停止しなかった。あれは何だ、件数は何件あがった」(294頁)
戦後昭和の官僚主導経済を成功モデルのように見る向きもいるが、官僚に潰された人々もいただろう。その意味で昭和は良かったとはとても言えない。むしろ官僚主導経済を批判する新自由主義に個人の解放につながる要素がある。飯塚も外資をクライアントとしていた。公務員を監視し、公務員倫理の徹底に努めなければならない。
飯塚は論語の里仁編の「悪衣悪食を恥じる者は、ともにはかるにたらざるなり」を好む(123頁)。この悪は悪いという意味ではなく、粗末なという意味である。価格と品質が比例すると考える浅ましい拝金主義の対極にある。

2018年8月14日火曜日

ランクA病院の愉悦

『ランクA病院の愉悦』は『ガンコロリン』を改題した文庫本である。「ランクA病院の愉悦」は医療格差が進む近未来の日本を描く。病院はランクA、ランクB、ランクCと料金によって分けられる。ランクC病院は人工知能による診断しかしない。この人工知能も近年話題の機械学習のレベルではなく、if文で実装する単純なレベルである。
低所得者は、このランクC病院しか事実上受診できない。格差社会のディストピアを描く作品と想像したが、良い意味で裏切られた。価格と品質が比例するというような浅ましい拝金主義への批判になっていた。ただ価格が高いだけのサービスには意味がない。

後書きで以下のように書いている。「いいものをいじり回してダメにしてしまうのは官僚の習い性だ。官僚の意識には、病で苦しむ患者を救おうという、一番大切な気持ちがすっぽり欠けているように思えてならない」(237頁)

デュー・ブレーカー

エドヴィージ・ダンティカ著、山本伸訳『デュー・ブレーカー』(五月書房新社、2018年)はハイチ系アメリカ人によるオムニバス的な小説である。独裁政権がもたらした傷を描く。タイトルのデュー・ブレーカーは秘密警察の拷問執行人である。独裁政権下のハイチではデュー・ブレーカーが任意に市民を逮捕、連行し、拷問を加えることが横行していた。
国家権力の横暴から人身の自由を保障することがマグナ・カルタ以来の人権思想の肝であると再確認した。法の適正手続きを意味する言葉にデュー・プロセスがある。デュー・ブレーカーと似ているが、落差がある。
警察の手口はどこも似ている。「最初不愉快にさせておいて、あとで優しくする。そうすれば男は感謝され、いい人だと思ってもらえる」(235頁)
被害者の苦しみ、怒り、絶望は大きい。そこは大いに共感できる。一方で本書の特徴は拷問執行者側の心の傷も描き、被害者側の加害者への思いも憎しみや恨みだけではないことである。特に後者は憎まれて当然、恨まれて当然であり、その不思議さは読者を混乱・困惑させる。悪いのは独裁者の大統領と単純化できる話ではない。拷問執行人は私的利益を追及し、腐敗していた。

2018年8月13日月曜日

桶川ストーカー殺人事件・遺言

清水潔『桶川ストーカー殺人事件・遺言』は桶川ストーカー殺人事件を取り上げた犯罪ノンフィクションである。一人の週刊誌記者が、殺人犯を捜し当て、警察の腐敗を暴く。
桶川ストーカー殺人事件は1999年にJR高崎線桶川駅で発生した女子大生刺殺事件である。警察の杜撰な対応や嘘によって被害者や家族が心痛に苦しむことになる。真実を歪めて調書を作成する実態も指摘する。市民にとって悪魔は遠くまで探しに行く必要はないものであった。
埼玉県警察の不祥事であり、全国的に警察批判が起きた事件である。そのために本書は埼玉県さいたま市浦和区の須原屋でポップ広告でプッシュされていた。埼玉県警の不祥事であり、埼玉県民ならば読むべしと。読んでいて埼玉県警の傲慢さや責任逃れ体質に腹が立って仕方がない書籍である。精神衛生上良くないが、埼玉県民は知る必要がある。
この事件はストーカー規制法成立の端緒となったことで知られている。しかし、典型的な個人によるストーカー犯罪とは様相が異なる。集団的な嫌がらせ、攻撃である。後に社会問題になる半グレ集団の犯罪に重なる。

須原屋の隣の、いきなりステーキ浦和店では行列ができていました。

2018年8月12日日曜日

鉄腕バーディー

ゆうきまさみ『鉄腕バーディー』(BIRDY THE MIGHTY)はSF漫画である。OVAにもなった。主人公は巻き込まれ型である。宇宙人が登場するが、動物園仮説の世界観になっている。
第3巻は、悪徳刑事の嫌らしさ、陰湿さが描かれる。悪徳刑事は見込み捜査で犯人扱いし、市民生活を破壊する。著者は『機動警察パトレイバー』で警察の仕事は弱い者いじめと少年に評させただけのことはある。
悪徳刑事の強引さは警察組織の認めたものではなく、内部から批判されているが、押し止めることはできていない。現実の警察不祥事で内部統制が働いていないことと重なる。既に指摘されているように警察を取り締まる機関が必要である。
この悪徳刑事は因果応報の目に遭う。悪徳刑事の人格は因果応報の目に遭うが、もっと嫌らしい存在になる。そのために主人公らの苦しみは続きそうである。

2018年8月9日木曜日

中野相続裁判さいたま地裁

資格を取らせなかった。情景が思い浮かぶように書く。資格を出す。免状を証拠として出す。

茶道教室の営業を引き継いだことが大きな利益である。
電話料金を支払わせていた。

茶室と水屋は変わっていない。ホールが広くなっただけである。
茶室はいじっていない。いじっていないものに、夢がかなったはない。
稽古場という表現は使っていない。
夢は茶室が一階にあり、露地から入れること。
階段は緩やかになっていない。
一階を主に改装した。システムキッチンに250万円をかけた。領収書を出す。

2018年8月8日水曜日

琉球のユウナ

響ワタル『琉球のユウナ』(白泉社)は島津侵攻以前の琉球王国黄金時代を舞台とした歴史ファンタジー漫画である。1482年、琉球・第二尚氏王朝の時代である。
主人公は赤い髪の少女で、不思議な力を持っている。ガール・ミーツ・ボーイの物語である。
島津侵攻以前の琉球王国という点がユニークである。琉球王国を舞台とした作品の多くは『琉球の風』のように島津侵攻や『テンペスト』のような琉球処分の時代が多い。琉球の苦しみに寄り添った作品でも、日本なしでは話が進まないものである。それは日本への従属、日本の一部としての沖縄という与えてしまう。日本の支配のなかった琉球王国黄金時代を描く作品が増えることは琉球のアイデンティティー形成に資するだろう。
一方で本書は今日知られる琉球文化の多くは島津侵攻後の近世琉球で成立したものと指摘する。それ以前の琉球文化はあまり知られておらず、作者も描く上で苦労したという。島津侵攻前こそ琉球王国が輝いていた時代と考えるが、琉球のアイデンティティーについて考えさせられる。

2018年8月7日火曜日

絶滅の人類史の書評

更科功『絶滅の人類史なぜ「私たち」が生き延びたのか』NHK出版新書、2018年
本書は冷徹な現実を指摘する。椅子取りゲームのように人類が増えれば、その分、他の生物の生存圏が減る。その結果、絶滅する種も出てくる(244頁)。このように意図はなくても相手を害してしまうことはある。高層マンションばかりとなり、戸建て住民が物理的に追い出される訳ではなくても、住環境が悪化し、出ていくことと似ている。
本書はアフリカから出た原生人類であるホモ・サピエンスがネアンデルタール人と交雑したとする。そのためにアフリカ人以外のホモ・サピエンスにはネアンデルタール人の遺伝子が含まれている(233頁)。アニメなど日本には白人と黄色人種には差がなく、黒人だけが異質という感覚がある。それはネアンデルタール人遺伝子の有無という観点では正しかった。
このネアンデルタール人遺伝子が入ったことはホモ・サピエンスの寒冷地などへの適応力を高めた(235頁)。純血主義が不利であることは生物学的に説明できる。

2018年8月6日月曜日

絶滅の人類史

『絶滅の人類史』は人類という種の誕生の歴史を明らかにする新書である。
本書の学問スタンスが勉強になる。筋が通った説明というだけではダメであると何度も繰り返される。筋が通った説明は必要条件を満たしても、十分条件を満たすとは限らないためである。
この点は日本の警察の見込み捜査と対照的である。見込み捜査は彼には動機がある、だから犯人であると決めつけ、自白を強要する。日本の警察の見込み捜査は科学的ではないと批判されるが、科学的な姿勢が本書から理解できる。
脳の大きさについての説明も面白い。一般に脳が大きいければ知能が高いことを意味し、良いことと考えられる。しかし、ただ大きいだけで使用していないならば無駄なエネルギーを消費することになる。それは生存競争上、不利になる。従って、そのような生物は絶滅しやすくなる。企業経営のリストラクチャリングに重なる話である。
よく人間ほど残酷な生物はいないと言われる。戦争を念頭に置いている。

2018年8月3日金曜日

悪女イブ

『悪女イブ』は人気作家が娼婦に溺れて破滅していく小説である。映画化された。
上記の説明では展開が容易に頭に浮かぶが、それほどステレオタイプな展開ではない。悪女が主人公を溺れさせるのではなく、主人公が勝手に破滅していくだけである。
イブは悪女と呼ばれるほどのことはしていない。男性を狂わせる魅力を感じさせる描写もない。主人公がイブに執心することが理解できない。正直なところ、イブと関わりたいという気持ちにならない。
本書の特異なキャラクターはイブよりも主人公である。主人公が人気作家となった要因には卑怯な秘密がある。実力が伴わないことは当然である。イブがいなくても破滅は避けられなかっただろう。本書はイブという悪女の物語ではない。