2018年7月7日土曜日

シュトヘル

伊藤悠『シュトヘル』(小学館)は現代高校生がモンゴル帝国に滅亡寸前の西夏の女戦士に入れ替わるタイムスリップ歴史漫画である。但し、第1巻では入れ替わった主人公の活躍は描かれない。序盤の現代高校生活を除けば、純然たる歴史漫画になっている。
シュトヘルは悪霊の意味である。モンゴル兵から悪霊と恐れられた。しかし、最初はひ弱な女兵士であった。第1巻では悪霊になるまでを描く。
西夏と言えば映画『敦煌』があり、武断的な国とのイメージがある。これに対して本作品では独自の文字を大切にする文明国である。戦争はモンゴルに圧倒され、西夏は破壊される一方である。その中でモンゴル側の人物が西夏文字に憧れを抱く。
漢民族と遊牧民の物語では漢民族の側に中華思想があり、遊牧民を見下しているために遊牧民側に感情移入したくなることもある。これに対して本書には中華思想のような優越感はなく、武に対する文の価値を素直に応援できる。
第2巻はシュトヘルにスドーが入れ替わる前の話である。

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