2018年5月3日木曜日

魔法使いの陰謀

『魔法使いの陰謀』は現代ニューヨークを舞台とした魔法ファンタジー小説である。「フェアリーテイル」シリーズ第三弾である。ニューヨークでは妖精の関与が疑われる事件が続発する。魔法使いのジョセフィーンは魔法使いと妖精の対立を煽る。ソフィー達は魔法使いと妖精の戦争の危機を食い止められるか。
本シリーズの魅力はファンタジーと現代ドラマの両方の要素が詰まっていることである。現代ドラマの方は政治的正しさを無視した現代エンタメになっている。「ヒスパニック地区でバレエを観るやつなんかいない」との台詞が出てくる(223頁)。人間であるが、妖精の性質を吸収した存在を「名誉妖精」と呼んでいる(400頁)。アパルトヘイトの名誉白人を連想する表現であるが、悪い意味で使っていない。エンタメ作品が政治的に正しい必要はない。
マイケルは刑事としては柔軟な思考の持ち主である。だからファンタジー作品のレギュラーになれる。一方で本書では市民感覚とはギャップがある警察組織の人間的なところが描かれる。マイケルの見込み捜査的な進め方は、ソフィーに「警察はいつもそんなふうに捜査をするの?まず容疑者を決めて、それから証拠探し?」と呆れられた(153頁)。
不審な妖精をソフィーとマイケルで尋問するシーンではマイケルがソフィーに「いい刑事と悪い刑事のどっちをやりたい?」と尋ねている(163頁)。悪い刑事が脅した後で、いい刑事が優しくして自白させる古典的な手口である。日本ならば人情派刑事が被疑者を落とすパターンであるが、米国ではロールプレイのゲームでしかない。

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