2017年10月7日土曜日

アメリカ帝国衰亡論・序説

#アメリカ #書評 #政治
『アメリカ帝国衰亡論・序説』はトランプ大統領を生んだアメリカを分析し、日本の採るべき方向性を論じた書籍である。アメリカの衰退を指摘し、中国と対峙する覚悟を説く。アメリカ従属一辺倒では日本は救われない。
本書の射程はアメリカのトランプ政権にとどまらない。ロシアはソ連崩壊後の自由と民主主義を覚えており、早晩民主化すると指摘する。故に安倍政権がプーチン政権と慌てて関係強化すべきではないと。
本書の指摘が説得的である理由は、時代の流れを見据えているためである。今や21世紀である。冷戦や工業社会の枠組みを引きずっていたら、認識を誤る。しかし、その時代から分析し続けていた世代が、そこから抜け出すことは大変である。この点が本書の素晴らしいところである。
本書のアメリカ論は深いところを突いている。ワスプは有名であるが、プロテスタントにも聖公会や長老派など様々であり、それが社会階層になっている。白人対黒人という類の単純な見方ではない。
本書はアメリカ化されることは植民地になることよりも恐ろしいと指摘する。この指摘は納得できる。圧制下に置かれる以上にアイデンティティーを失うことは許しがたい。日本の植民地支配について日本の罪を軽くするために欧米の植民地支配に比べて善政であったと主張されることがあるが、これは逆効果になるだろう。アイデンティティーを失わせる統治の方が残酷である。

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