2017年2月20日月曜日

国家とハイエナ

#投資 #書評 #レビュー
『国家とハイエナ』は途上国の値崩れした債権を割安で仕入れ、海外資産の差し押さえ戦術によって額面と利子を全額請求するハイエナファンドを扱った作品である。小説仕立てであるが、現実の出来事に基づいており、現実に起きた事件も描かれる。この現実ベースという点が本書を読んでスッキリする作品にしていない。小説ならば悪人が不幸になるだろう。そのようにならないところに、この問題の複雑さがある。ハイエナファンドは悪であるが、その規制が発展途上国の権力者を助けることにしかならないという側面がある。また、社会主義的な政権から市場主義的な政権に交代し、市場ルールを受け入れるようになってから解決に進んでいる。発展途上国の姿勢が悪いというハイエナファンド側の主張に沿った展開であり、やるせない。
本書は憎むべきハイエナファンドについても人間として描いている。この点も本書を勧善懲悪の視点で読むことを難しくさせる。
ハイエナファンドのオーナーは息子から自分と全く異なる価値観をカミングアウトされる。最初は狼狽したものの、その問題について猛勉強し、強力な理解者になる。法改正のロビー活動まで始める。日本にも迷惑勧誘電話商法や貧困ビジネス、ペット引き取り屋など悪徳商法は数限りなくあるが、それらの経営者に彼のような異なる価値観に対する柔軟さはないだろう。もっと頭の固い卑小な人間である。客観的な被害の大きさとしてはハイエナファンドの方が上かもしれないが、日本の悪徳商法の方が人間的に告発したくなる。
本書は世界を舞台にした作品であるが、日本人も登場する。

0 件のコメント:

コメントを投稿