2017年1月2日月曜日

食べ方を美しく整える

小倉朋子『「食べ方を美しく整える」』は食べ方の書籍である。この手の書籍には成金趣味的なものもあるが、本書には料理の値段と品質が比例するという類の浅ましさはない。また、旧時代の作法の復権を押し付けるものでもない。むしろ市民感覚に即した内容である。たとえばストレスオフのために一人ご飯を薦めている(23頁)。一人ご飯でストレスオフがあるから、コミュニケーションの場としての食事が成り立つ。
本書は、取りあえずビールの風潮を否定する。人それぞれ飲みたいものがあるためである(19頁)。さらに本書は、取りあえずビールが店にも失礼と指摘する。「メニューをしっかり読むことは飲食店に対する客側のエチケット」だからである(21頁)。逆に世の中には注文をとる店員を待たせないために、取りあえず人数分のビールを注文することが良いこととの勘違いがある。考えてみれば、それはメニューを用意している店に失礼である。メニューをじっくり読んで注文することが店へのマナーとの指摘は、消費者の選択権を重視する私にとって嬉しいものである。
マナーは基本的に相手への配慮で成り立っている。たとえばナイフを置く時は刃を自分の側に向ける(85頁)。文筆のマナーで追伸文は失礼とされる。
食器やテーブルを傷つけないことは最低限のマナーである。意外なことに一番困るものは男性の腕時計という。大きくて重い腕時計がテーブルの縁に当たり、傷つくことが多いという(95頁)。食事マナーと成金趣味は全く異なる。

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