2016年11月21日月曜日

佼成病院裁判の意思確認

立正佼成会は母親及び原告の意思確認をせずに延命措置を実施しなかった。佼成病院の医師は被告長男をキーパーソンとし、その意見しか聞かなかった。複数の家族がいるのに一人だけをキーパーソンとして、その一人にしか説明しなかった。その一人をキーパーソンとしたことを他の家族に説明しなかった。

事実認定はカルテに書いていることは基本的に判決も認めている。被告長男はカルテと矛盾した主張をしていたが、その主張は退けた。被告長男の延命治療拒否は事実として認める。

判決は意思確認について、まず母親は意思確認ができる状態でなかったとする。その理由として「自ら経鼻胃管を抜去してしまうことがあり、経鼻経管栄養の必要性について理解できていない様子であった」とする(22頁)。

しかし、これは一般常識に反する。管を抜こうとすることは、人間として本能がある証拠である。誰だって不快なものは外したくなる。「経鼻経管栄養の必要性について理解できていない」と言うならば、病院が経管栄養の必要性を病院が説明したのかが先ず問われる。しかも、頭で理解しても不快なものをとろうとする衝動は残る。その衝動の通りに動いたとして、意識がなかったことにはならない。

原告の意思確認をしなかった点については、「キーパーソンを通じて患者の家族の意見を集約するという方法が不合理であるとは認められず、そのような方法を採ることも医師の裁量の範囲内にあるとされる」とした(23頁)。

しかし、その理由を二点挙げているが、何れも成り立たない。第一の理由「医師が患者の家族の全員に対して個別に連絡を取ることが困難な場合」は本件には該当しない。目の前にいる家族に説明し、その意見を確認しなかったことが問題である。

第二の理由「延命措置には費用や介護の分担など家族の間で話し合って決めるべき事柄も伴う」は、「この問題は家族で話し合って結論を出してください」とすれば済む話である。一切をキーパーソン経由にすることを正当化するものではない。

その上で原告が積極的・明示的に意見を表明しなかったことを根拠に正当化している。これは消費者問題や詐欺事件などで被害者不利の判決を出す裁判所の論理と同じである。特に医療の分野ではInformed Consentという言葉がある。単に異議がなかったということでは足りない。説明された上での同意が必要になる。

厚生労働省が平成19年5月に策定した「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」では「患者にとって何が最善であるかについて家族と十分に話し合い、患者にとって最善の治療方針を採ることを基本」とすると定めている。このガイドラインは「終末期医療の方針決定における医師の注意義務を検討する上では参考となる」(22頁)。佼成病院では十分に話し合ったとは言えない。時代遅れの旧態依然とした病院である。母親や原告の無念さをくみ取る判決になっていない。
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