2016年9月12日月曜日

親子経営ダメでしょモメてちゃ

『親子経営ダメでしょモメてちゃ』は親子経営の失敗原因と対策を述べた経営書である。大塚家具などの「お家騒動」が話題になっており、タイムリーな書籍である。
本書はタイトルに「ダメでしょ」とあるように「これをしたらダメ」のネガティブリスト方式で書かれている。ハウツー本の多くは「これをしよう」というポジティブリスト方式で書かれている。
日本人にはネガティブリストよりもポジティブリストの方が前向きで建設的と考える傾向がある。しかし、ネガティブリストは、「それをするな」という禁止事項を書いたものであり、それ以外の行動は自由に任されている。ネガティブリストの方が相手の自由を尊重した姿勢である。
本書は親にも子にも厳しい助言をしている。親子対立にならないために親子の関係性を変えることが大切と指摘する。そのためには親が変わることが近道である(96頁)。親の方が相対的に優位な立場にあるため、この指摘は正しい。
ところが、本書は「長年経営をしてこられた頑固な父親より、素直な子供さんから変わってもらうことで、親子の関係性に変化を与えることをより期待しています」とも述べる(97頁)。これも親と子のどちらが変わる能力があるかという実現性の観点からは間違っていない。
しかし、間違っていないが故に絶望的な気分になる。親の方は年や頑固さが理由で子の論理を理解しようとしない。それにも関わらず、子には親の論理を理解することが期待される。これは片務的であり、これを期待することはフェアではない。これを当たり前と考えるならば甘えである。
この問題は同族経営に限らない。組織の世代継承、世代交代も同じである。むしろ、親子ならば甘えも成り立つが、単なる世代対立に置き換えたら、若い世代にばかり期待することは、それ自体が世代対立を激化させる原因となりかねない。
本書は親と子の関係という古くからの普遍的な問題を扱っている。本書は論語をよく引用するが、それも普遍的な問題意識に合っている。
一方で現代は変革期にある。昭和が平成になり、二十世紀が二十一世紀になった。金融革命、IT革命、第4次産業革命など産業構造の転換期になっている。大量生産、大量消費、右肩上がりの昭和の高度経済成長の時代は終わっている。

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