2016年8月10日水曜日

ウェディングドレス

『ウェディングドレス』は戦前戦後を生きた二人の女性の物語である。綺麗な花嫁姿に憧れ、戦後は経済成長の波に乗って花嫁衣装のあり方を革新する。
21世紀に生きる身からすると昭和の日戦前や戦後にはステレオタイプなイメージを抱く。戦前は軍国主義の暗い時代、戦後は経済成長に邁進した時代。軍事面と経済面の相違はあってもどちらも個人よりも社会全体を優先したという否定的イメージがある。本書は、そのようなステレオタイプとは異なる面も見せてくれる。
戦前の女学生はフランス文化に憧れていた。決して偏狭な国粋主義者ではなかった。一方で戦陣訓のようなものも素直に受け入れていた。戦後のイデオロギー対立のように反戦平和か否かと単純に割りきれる話ではなかった。本書では藤田画伯のアッツ島玉砕の絵が紹介される。戦争協力者と上から目線で断罪されるようなものではなく、時代と真剣に向き合った作品と視点人物に評価させている。
二人の女性にとって戦後は自由にチャレンジした時代に描かれる。様々な抑圧も描いているが、チャンスのあった時代と見ている。これは1940年体制が続く、画一化した時代という私のイメージとは相違する。頑張れば何とかなった時代と、戦後を肯定的に見直そうという気持ちにさせる明るさが本書にはある。
本書は視点人物に自分のビジネスが生産者の作ったものに消費者を合わせ、消費者本位のものになっていないと反省させる。これは戦後高度経済成長の大量生産大量消費とは異なる消費者主導という新しい市場の発想である。それを高度経済成長で成功した企業家が気付くことは素晴らしい。

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