2016年7月6日水曜日

農協に不公正な取引方法で排除命令

土佐あき農業協同組合(JA土佐あき、高知県安芸市)が農家に生産したナスを全て同農協に出荷するよう圧力をかけたとして、公正取引委員会は独占禁止法に基づき、同農協に圧力をやめるよう排除措置命令を出す方針を固めた(「高知の農協に排除命令、公取委方針 「農家に取引圧力」」朝日新聞2016年5月31日)。

これは農家の取引の自由を侵害する。販売者や消費者と直接繋がろうとする農家の妨げになっている。農協が農家の利益になっていない。農家と消費者の中間搾取者になっている。農協が打ち倒すべき既得権の擁護者になっている。このような農協ならば存在しない方がいい。既得権益は捨てるものである。公正取引委員会がメスを入れることは正当である。

「農協の事業を利用するかどうかは農家の経営判断だ。農協が販売・購買事業を利用することを農家に強要したり、農協以外の経路を使うことを妨げたりするのは許されない」(「農協は独禁法の順守徹底を」日本経済新聞2016年6月12日)。

この問題の救い難いところが、農協側が取引制限を道徳的に悪いことと思っていない可能性があることである。農協の狙いの一つには生産者の団結による取引競争力の強化がある。個々の農家が商人に農作物を販売すると買い叩かれることがある。それを避けるために個々の農家の農作物を農協に集める。この考え方に立つならば、個々の農家が直接販売者や消費者に販売することは農協の取引競争力を弱めることになり、好ましくないとなってしまう。

実のところ、これは労働組合では普通のことである。個々の労働者が労働協約を無視して個別に使用者と労働契約を締結すれば、その労働者が労働組合員ならば、労働組合から制裁を受けるだろう。労働組合には、その権限が認められている。このような考え方に馴染んでいると農協の件も何が悪いのかとなってしまう。貧困ビジネスなどの悪徳商法は悪事と分かっていながら、金儲けのために悪事を働いている。ところが、農協の取引制限は悪事を働くという自覚さえないかもしれない。このために悪徳商法以上に救いがたい。

この問題は新しい経済体制を考える上でも難問がある。株式会社中心の経済から協同組合などの比重を高めていきたいとは、よく言われることである。しかし、この事件から分かるように協同組合も市民の自由の妨げになる存在である。安易に協同組合を理想視できない。
http://www.hayariki.net/eco/agri.html
組合を強くさせなくてはならないとよく言われるが、組合の強さは構成員個々の自由を制限することによって得られるという逆説的な現実がある。これが組合というものに大多数の一般人が必ずしも積極的になれない理由だろう。新しい経済体制でイメージするものは搾取されない虐げられない経済であるが、組合に自由を制限されるならば本末転倒になる。
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