2016年7月27日水曜日

農協で金銭着服相次ぐ

農業協同組合職員の金銭着服が2016年7月に相次いで発覚している。佐久浅間農協(佐久市)は9日、40代の女性職員が、客の定期貯金15件を不正に解約して計1443万円余を着服したと発表した(「佐久浅間農協で女性職員が1443万円着服」信濃毎日新聞2016年7月10日)。レーク大津農協(大津市)は15日、同組合瀬田支店の信用渉外担当だった男性職員(27)が2015年8月から2016年6月に定期積立金契約の掛け金から計383万円を着服していたと発表した(「27歳の農協職員が383万円着服 「ボートレースに使った」」産経新聞2016年7月15日)。

どちらの事件も契約者からの指摘で発覚しており、農協の自律性が疑問視される。佐久浅間農協事件では契約者が2016年6月に定期貯金を確認した際に解約されていたことに気付き、相談して発覚した。レーク大津農協事件では契約者が6月28日に組合の窓口を訪れた際、同組合が把握している掛け金の記録と、契約者が実際に支払った掛け金の額が違うことが分かり、発覚した。契約者の指摘がなければ発覚しなかったということから、着服は氷山の一角ではないか。

着服事件の背景には農協の組織的な問題がある。佐久浅間農協事件では井出健組合長が記者会見し、管理監督が不行き届きだったとして陳謝した。レーク大津農協事件では嶋口吉信常務理事が「第三者が確認する作業が甘かった」と述べている。佐久浅間農協事件では刑事告訴を検討しているとするが、レーク大津農協事件では両親が全額弁済したことを理由に刑事告訴をしないとする。処分の甘さも議論になるだろう。

つがるにしきた農協(青森県つがる市)では、つがる統括支店元支店長が2016年7月22日に架空貸し付けでコンピューター端末を不正に操作し100万円を詐取したとして、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕された。青森県警は被害総額が5千万円超に上るとみている(「農協元支店長、100万円詐取の疑いで逮捕 青森・つがる市」フジテレビ2016年7月22日)。

逮捕容疑は、同支店金融課長当時の2011年9月26日頃、親族男性から借り入れの申し込みがあったように装って端末を操作、親族男性の共済金を担保に100万円の貸し付けを行い、親族男性名義の口座に振り込むなどして不法な利益を得た疑い。振込先の口座も容疑者が書類を偽造して開設した模様。

同農協は2015年12月、業務上横領容疑で容疑者を刑事告訴。県警は、端末の不正操作を経て最終的に現金を引き出した疑いが強まったとして、逮捕罪名を電子計算機使用詐欺とした。容疑者は親族数人の共済証書を不正に再発行して架空貸し付けを繰り返し、支店長に昇任後も犯行を続けていたとみられている(「5千万着服でJA元支店長逮捕」東奥日報2016年7月22日)。

相次ぐ金銭着服は農協改革による監査体制の強化の必要性を示すものである。これまでは全国農業協同組合中央会(JA全中)が地域農協を監査していたが、中央集権的・硬直的な監査では十分な対応ができないという問題がある。農協の上部団体が農協を監査することは、監査の第三者性という点で問題がある。農協という体質的な問題に踏み込めない危険がある。
http://www.hayariki.net/eco/agri.html
そこで農協改革によってJA全中の監査権限をなくし、地域農協は監査法人を自由に選択できるようする。しかし、ここにも脱法ハウスや脱法ドラッグのような法の抜け道探しの問題がある。JA全中は監査部門を切り離し、2017年7月に新たな監査法人を立ち上げ、農協監査の新たな受け皿を目指す方針という(「JA監査部門、独立へ 農協改革の一環 17年夏に新法人」日本経済新聞2016年6月27日)。JA監査部門からなる監査法人が地域農協を監査するならば農協改革の意義を弱めてしまう。

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