2016年7月22日金曜日

東急電鉄のカラオケ提携シェアオフィスは風俗を乱すか

東急電鉄がカラオケと提携したシェアオフィス事業に懸念の声が出ている。東急電鉄は2016年7月13日、同社が運営するシェアオフィス事業「NewWork」がカラオケ「パセラリゾーツ」と提携すると発表した。「NewWork」は2016年5月開始のサテライトシェアオフィス事業であるが、このサービスの会員が「パセラリゾーツ」11店舗も使えるようになる。

カラオケは完全個室で電源、Wi-Fi、PCからの出力が可能な備え付けモニターが用意されており、意外とオフィスとしての設備が整っていると評価される。しかし、それは箱物しか見ていない評価である。カラオケボックスは防音設備が整っていると言っても、一歩間違えれば隣が五月蝿くて集中できない。ホストとホステスが騒いでいる。煙草臭い部屋もある。

パセラは株式会社ニュートンが運営するが、ラブホテルを運営する株式会社サンザと同じグループである。グループ代表CEOは共に荻野勝朗で、本社所在地も東京都新宿区歌舞伎町2丁目4-10KDX東新宿ビル7Fと同じである。東急電鉄はニュースリリースで「日本一住みたい沿線 東急沿線」を目指すとするが(東京急行電鉄株式会社「東急電鉄の会員制サテライトシェアオフィス「NewWork」沿線外のシェアオフィス事業者やカラオケ「パセラリゾーツ」との提携を開始します」2016年7月13日)、風俗を乱すことにならないか。東急電鉄中心の再開発「二子玉川ライズ」ではアダルトビデオ撮影に使われる事件が起きた(林田力『二子玉川ライズ反対運動7』「二子玉川ライズAV撮影と盛り場の危うさ」)。

どのような企業がシェアオフィスを利用するかも問題である。東急電鉄は「会員制のサテライトオフィスを設置し、テレワークを導入する企業を対象に、快適な執務環境を提供する」と説明する。これを読むと、それなりの企業を対象としているように読める。しかし、シェアデスクの料金プランを見ると従量制プランは基本料金月額5,000円(8時間の無料利用時間を含む)、従量料金1時間あたり500円、定額制プランは基本料金月額30,000円(営業時間内は使い放題)とSOHOレベルでも利用可能である。

実際、シェアオフィスの利用者は「ネット系のビジネスの方が多い」と指摘される(「シェアオフィスで、息抜きにカラオケを」『我思う、ゆえに我あり - Cogito, ergo sum -』2016年7月14日)。複合機を共用するなどのシェアオフィスは秘密保持上も問題である。法律事務所がレンタルオフィスを事務所として問題になった例がある(林田力「法律事務所もレンタルオフィスで開業」リアルライブ2010年8月24日)。

そのためにシェアオフィスはオフィスを持てる企業がテレワークのために利用するよりも、単独ではオフィスを持てない業者の選択肢になるのではないか。危険ドラッグ通販などの違法ビジネスの拠点として使われる危険もある。

東急電鉄がカラオケと提携してシェアオフィス事業に取り組むことは微妙であるが、このニュースから感じることは従来の「都市計画」的な街づくりが時代遅れになっていることである。「ここは低層住宅地」「ここは商業地」などと区分けして、その用途に即した規制を強化するという発想が現実に生活する住民の救いになりにくくなっているのではないか。今や住宅地のマンションの一室が危険ドラッグの販売拠点にすることもできるし、密造工場になることもできる。逆に商業地でも日照権は問題になる。用途地域別規制に依拠するならば住民運動も単なる既得権擁護の運動に見られかねない。
http://www.hayariki.net/newwork.html
そもそも昨今の高層化の多くは無秩序になされたものではなく、都市計画によって進められたものである。都市計画的な発想に立つならば、この地域は高層化しようという考えも産業界の要請としては出るだろう。それを頭ごなしに否定する人がいるならば、自分にとって都合の悪いことは「あてにならない」と根拠なく否定する左翼教条主義者くらいであり、それが市民的支持を得ることはない。街づくりは計画本位ではなく、住民本位で考えていくべきであろう。

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