2016年5月30日月曜日

軍事革命

『軍事革命』は情報社会における新しい戦争の形を論じた書籍である。本書で強調していることは情報社会の戦争は工業社会の戦争とは大きく異なるということである。この大変革を軍事革命と呼ぶ。
著者は元自衛隊幕僚の軍事アナリストであるが、自衛隊が工業社会の戦争を念頭に置いており、軍事革命に遅れをとる危険があると警鐘を鳴らす。古巣に対する著者の率直な指摘を評価する。
これは日本の組織の弱点である。日本は第二次世界大戦で米国の物量に敗北したとされることが多い。その反省に注力するあまり、そこで終わってしまい、状況の変化に対応が遅れてしまう。
本書の軍事革命は非常に説得力がある。工業社会の成功例だった日本の製造業の低迷と重なるためである。本書では民間のビジネスパーソンらも軍事革命がもたらす変化を考えるべきと述べている。むしろ民間の方が考えやすい面があるかもしれない。
この問題は非常に厄介である。政治の世界では安全保障政策をめぐって深刻なイデオロギー的対立が生じている。政府が進めることに強い反対がある。私も反対の立場であるが、現場レベルで情報社会に対応するための変革は必要である。さもなければ防衛費の支出も時代遅れの農道建設などの公共事業と変わらない税金の無駄遣いになる。反対派は既得権擁護の守旧派とは一線を画さなければならない。
本書は軍事革命に対応した外国軍によって九州が侵攻されるという生々しいシミュレーションをしている。そこでは国内世論を反戦に工作するシンパ組織の国内浸透を脅威としている。ここも難しいところである。現実に中国や北朝鮮を応援したい立場からの反戦運動が世の中にない訳ではない。

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