2016年4月14日木曜日

ワーキングプア原論

『ワーキングプア原論』はワーキングプア問題を取り上げた書籍である。本書は希望のまち東京in東部勉強会「どうする、どうなるワーキングプア」のテキストである。ゼロゼロ物件や脱法ハウスなど貧困者の搾取を目的とした貧困ビジネスまで登場する末期的状況の日本社会において重要な問題意識である。
著者の現状分析に賛同するところ大である。左派左翼の体制批判論は新自由主義を目の敵にする傾向がある。本書も構造改革を批判する立場から書かれたが、戦後日本の体制を開発国家と呼び、新自由主義と区別する。企業を通して経済発展する、そのために国家は企業を支援するという思想である。このために国民の不幸を自己責任と切り捨て救わないが、大企業の破綻は税金で回避するというダブルスタンダードが日本では矛盾と感じなくなっている。この説明に納得した。自己責任論を否定するだけでは不十分である。反対に体制側の自己責任を追及することが必要である。
本書は、福祉国家を志向するが、福祉国家の歴史的な問題点も直視している。福祉国家は総力戦を遂行するための階級的妥協の産物であった。また、日本が福祉国家を進めることは行政の権限を増大させ、戦前の復活となるとの危惧もあった。
これらの説明にも納得できる。日本の公的福祉の水準が低いことは理解できる。故に公的福祉を増大させるとの結論にも賛成できる。それでも福祉国家が国家支配の強化につながらないかという危惧は残る。官僚主導の福祉国家ではなく、市民本位の福祉国家を考えなければならない。単純に大きな政府を目指すべきではなく、多くの分野では小さな政府、弱い政府を目指すことが重要である。

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