2015年12月17日木曜日

ギソウクラブ

『ギソウクラブ』は高校生を主人公とした小説である。ギソウクラブは技術創造クラブの略であるが、隠れた意味を持っている。それが物語のテーマにもなっている。
本書の特徴は章毎に視点人物が変わることである。視点人物は皆ギソウクラブのメンバーである。各章は時間の流れに従っているが、重なっている部分もある。一つの出来事が別々の登場人物の視点で語られる。それによって多面的な見方ができる。
高校生の何気ない日常生活が描かれるが、それぞれ過去やトラウマや悩みを抱えている。何でもないように見えて生きることは大変である。社会問題を描かなくても生きることの大変さを描けている。純文学にも通じる文学の王道である。
もう一つの本書の特徴は地域性である。物語の舞台の千葉の街を丁寧に描いている。キャラクターが、その土地で生きている人物としてリアリティーがある。特別な観光地でも景勝地でもない、どこにでもありそうな街であるが、唯一無二の街として感じられる。著者が地域を大切にしていると感じられる。古くは『耳をすませば』の聖蹟桜ヶ丘、近時は『ガルパン』の大洗や『あの花』の秩父などを連想した。自然保護地域や歴史的街並み保存地区にはならないが、再開発などでスクラップ&ビルドして欲しくない街並みである。

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