2015年9月6日日曜日

偽造同盟

岡田秀文『偽造同盟』(幻冬舎、2015年)は敗戦直後、連合国軍占領下の日本を舞台とした日本を舞台とした歴史ミステリーである。日本政府、GHQ、共産組織のエージェントが暗闘を繰り広げる。

日本陸軍参謀本部は戦時中にアメリカ経済打撃策「米ドル紙幣の偽造計画」を開始し、偽ドルの原版や印刷機が製作されたが、実行せずに日本は降伏し、印刷機などは破棄された。ところが、1947年の東京で殺人事件の現場で旧陸軍が製造したと思われる偽造ドル紙幣が発見された。消滅したはずの計画が露見することを恐れた日本政府は、印刷機回収のため秘密裏に捜索を始める。

帯に「日米露究極の騙し合い」とあるように互いに二重スパイが入り込む謀略まみれの状況である。最終章「真相」で真相が明かされるが、そこでは登場人物が駆け足で説明し、物語を味わう上では少し物足りない。しかし、そこで終わりではなく、さらに騙し合いが続く。

本書からは米軍が日本の支配者であり、「お上」であり、それに逆らえない日本政府の実態が浮かび上がる。これは現代日本の対米従属に続いているのだろう。本書は日本側がGHQの上を行った形で終わっているが、実行したことはGHQの作戦を手伝って共産組織を潰したことに過ぎない。米国の利益に対抗して、日本国民の利益を守ったわけではなく、米国の支配を強化するだけである。これも現代の対米従属保守のあり方に重なる。

一方で日本や米国の共通の敵である共産組織も日本国民の利益を擁護する存在ではない。「本国」の意向を第一とする文字通りのエージェントである。本文では「本国」の説明はないが、ソ連を指していることは明らかである。ソ連の傀儡国家を目指しているだけである。これも戦後日本で左翼が総体的に支持されない状況に重なる。対米従属が嫌としても、ソ連への従属を支持するものではない。
http://hayariki.sa-kon.net/gizou.html
このように本書は日本の救いのない現実と重なる。本書には権力に従順な警察上層部の方針に反して独自に捜査を進める刑事が登場する。彼のようなキャラクターはミステリーでは一つのパターンとなっている。物語途中で犠牲者になるのではなければ、その反骨精神が報われる物語が多い。ところが、本書では彼には救いのない結末になる。重たいリアリティーのある作品である。

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