2015年8月4日火曜日

サボタージュ・マニュアル

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『サボタージュ・マニュアル』は、米国が第二次世界大戦中に敵軍の占領地人民向けに占領者へのサボタージュの方法をまとめたマニュアルを解説付で書籍にしたものである。本書はサボタージュ・マニュアルを官僚化して非効率になった現代の組織への警告や皮肉と位置付けている。無駄な会議や形式的な手続きなど意図したサボタージュでなくても、組織にとってサボタージュの効果になることが大真面目に行われている。市民運動の世界でも「ちゃらんけ」などと徹底的に議論することを素晴らしいという風潮があるが、それは組織を破壊したい側の狙い通りにもなることをサボタージュ・マニュアルは教えてくれる。現実に穏健な市民団体を左翼過激派が乗っ取る手口として使われている。
本書はサボタージュ・マニュアルを現代組織への警告や皮肉と位置付けるが、本来の軍事目的でも意味がある。サボタージュ・マニュアルはサボタージュを細く長く続けるように求めている。バンザイ突撃や特攻隊とは真逆の発想である。生きて虜囚の辱しめを受けず、ではなく、生きてこそ復讐できる。日本がアメリカに敗北したことが納得できる。
サボタージュ・マニュアルは軍事的にも現代的意義がある。全体主義との闘いでサボタージュは英雄的であるが、敵も同じ攻撃をする可能性がある。欧米の多くの若者がイスラム国の兵士になることが問題になったが、自国にとどまってサボタージュに取り組む可能性もある。この可能性を考えると、戦争は戦闘員だけの問題ではなく、国民全てを監視しなければ戦時体制が成り立たなくなる。戦争が人権と両立しないことは真理である。

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