2015年5月30日土曜日

林田力書評・あの女

#小説 #書評 #読書 #レビュー
『あの女』は女性のドロドロとした感情を描いた小説である。女は怖いがテーマの小説は無数にあるが、本書の特色は超高層マンションを重要なスポットとしていることである。ある超高層マンションについて不動産業者が事故物件であると説明するところを枕にして物語が進む。これは新鮮である。
超高層マンションは怨念が蓄積しやすい場所である。超高層マンションでは日照が阻害されるなど周辺住民の住環境が阻害される。超高層マンションは周辺住民の怨みの対象になる。また、超高層マンションは、低層階と高層階のカースト制度によって超高層マンション住民の怨念も蓄積しやすい。故に超高層マンションとホラーは意外と相性がいい。
恐ろしいエピソードは植物状態になったとされる女性の話である。意思表示はできないが、聴覚は機能しており、思考能力もある。それにも関わらず、病院は意識がないと決めつけている。「看護婦も医師も、あまりに、想像力が欠如している」。現実社会では、そのような決めつけで安楽死や尊厳死が行われている危険がある。非常に恐ろしく感じた。

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