2015年3月23日月曜日

リケイ文芸同盟

#書評 #本 #新刊 #読書
『リケイ文芸同盟』は理系の編集者が理系であることを活かして、ベストセラー文芸書を出版しようと悪戦苦闘する物語である。主人公は文芸書編集部の文系思考について行けずに苦しむ。価値観のギャップ、衝突、相互理解が面白い。
但し、文系や理系をステレオタイプに位置付けすぎている。主人公は理系であることを意識しすぎているように感じられる。また、規則に縛られる杓子定規さを文系の特徴とするが、主人公にとって否定的要素を文系の特徴としているだけのようなところもある。むしろ融通がきかない杓子定規さは理系の特徴ではないか。
本書を小説の形を借りた文系論・理系論と捉えるならば異論反論が出るだろう。文系の人は文系が貶められていると感じるだろうし、理系の人も真の理系は主人公のような偏狭さはないと言いたくなるだろう。むしろ異なる価値観の世界で自己の個性を活かしつつ、他者も尊重して素晴らしいものを作っていく物語であって、理系文系は分かりやすいカテゴリーとして使ったものと考えるべきである。価値多元主義を楽しむ物語である。
そもそも文系理系の分類は大学受験生までのものである。大学では自然科学、社会科学、人文科学に分ける方が普通である。一般には文系理系の分類が分かりやすいが、大学で真面目に勉強したであろう、自己の専攻に人一倍こだわりのある主人公が文系理系の二分法ではリアリティーが弱まる。

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