2015年3月14日土曜日

ジョージィーの物語

#書評 #新刊 #レビュー #読書感想
『ジョージィーの物語』は医療過誤で子どもを亡くした母親の物語である。医療過誤の経験を語り、医療過誤をなくすために取り組む。著者の活動は素晴らしいものであるが、幸運に恵まれてもいる。著者は不快に感じるだろうが、加害者である病院の態度はまともであった。病院側の弁護士が著者の医療過誤防止の取り組みに協力する。現実の紛争で、このようなケースは稀である。日本では加害者の弁護士が被害者に被害届取り下げを強要して逮捕されたケースがある。強姦加害者の弁護士が被害者側に示談に応じなければ強姦ビデオを返却しないと脅迫したケースがある。交渉ならば何をやってもいいとデタラメな論理を振りかざすブラック士業が社会問題になっている。アメリカは訴訟社会で自分の非を絶対に認めないというステレオタイプな見方があるが、ベネディクトが「菊と刀」で恥の文化と指摘したように日本の方が倫理観に問題があるのではないだろうか。
著者は加害病院が潰れてしまえばいいというほど怒り、恨んだ。その気持ちを率直に記している。それは当然の思いである。その著者が加害病院と協力して医療過誤防止に尽力する。復讐から建設的な方向という歴史性に乏しい日本人好みの展開である。しかし、それは加害病院が最初から問題を認識し、比較的誠実な対応をしたという要素があって成り立つものである。
幼児ジョージィーは火傷で入院したが、退院間近のところで容態が急変し、死亡した。母親の無念はいかばかりか。「帰宅するまでが遠足」ではないが、順調に回復し、退院間近という時が危ない。私の祖母も入院後に主治医から退院を示唆されるまで回復し、リハビリをしていたが、亡くなった。

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