2015年2月18日水曜日

東京都の弁当の路上販売規制

東京都で弁当の路上販売が規制される可能性が出てきた。東京都が規制強化を目指しているためである。現状の路上販売は店舗販売と比べて規制が緩い。弁当の販売は東京都食品製造業等取締条例が規制している。固定店舗や自動車の販売は許可制で、食品衛生責任者の設置義務がある。これに対して人力による移動販売(行商)は届出制で、食品衛生責任者の設置義務はない。

これに対して、東京都食品安全審議会は2014年2月に「弁当等に関する食品販売の規制の在り方について」を答申した。そこでは「弁当行商の販売形態が、本来の人力による小規模な形態と乖離していること」「屋外かつ施設を有しない移動販売は、温度管理の不備等の衛生上の問題が懸念されること」とする(答申7頁)。そのために保冷容器等の設備の審査や食品衛生責任者の設置固定店舗などの規制を求めている。この答申に基づいて東京都は条例改正を目指している。条例改正案は東京都議会平成27年第1回定例会で審議される(「18日に都議会開会」産経新聞2014年2月11日)。

固定店舗の弁当も路上販売の弁当も消費者の口に入る点は同じである。そのために同レベルの規制を求めることには一応の合理性がある。しかし、答申の問題は以下のように路上販売自体を否定しようとするところにある。「弁当等の屋外販売は屋内販売に比べリスクがあり、衛生上望ましい販売形態ではない。このため、屋外よりも直射日光等の環境影響を受けにくいビルの中などの屋内や自動車での販売形態へ誘導することを第一として、この取組を都区市が連携して積極的に推進していくべきである」(15頁)

しかも答申は「都内では、現在まで行商用弁当による食中毒の発生は認められていない」とする(5頁)。そのため、以下の批判も出ている。「今のところ弁当の路上販売が原因で食中毒を起こしたケースは把握されておらず、安全性を理由にいきなり規制の議論を行うというのはいささか無理があります」(「東京の弁当路上販売が消える? 本当に安全性が問題なの?」THE PAGE 2015/2/16)

「消費者の「食の安心・安全」への意識が高まるなか、最近は異物混入などの事件が起っており、必ずしも店舗販売だから安心、路上販売だから安心できないとはいえない状況にもなってきた」(「東京の弁当路上販売に大逆風 認可制に変更で、「廃業」か「値上げ」」J-CASTニュース2015年2月6日)

この規制に対しては、競争者である店舗事業者の利害を反映した業者保護目的の規制でものではないかとの疑念がある。実際、答申は都内の保健所等に寄せられた行商用弁当に関する苦情のほとんどが「道路の占有や固定店舗の営業妨害、不衛生といった路上等での営業に関するもの」であったとする(5頁)。

中央区では既に路上販売の監視指導強化を打ち出していたが、そこでも路上販売のルールを問題視していた。「行商人等が、その場に留まって販売したり、路上で商品を陳列するなど、ルールが守られていない例も、多くなっています」(中央区「路上での弁当販売に関する監視指導を強化します」2014年9月30日)。

以下の分析もある。「これまで圧力団体も持たなかった小さな業界相手だからこそ、消費者や固定店舗からの苦情がスムーズに規制へとつながったという側面はある」(工藤渉「東京から路上販売の「ワンコイン弁当」が消える!?」ダイヤモンド・オンライン2014年2月7日)
http://hayariki.net/poli/lunch.html
路上販売は利便性と価格競争力によって消費者に支持されたものである。「ツイッターなどのインターネット上には、昼食難民が増えないよう、規制のやり方について検討を求める声も少なくなかった」(「「路上販売のお弁当」規制で昼食難民激増?「低価格」か「安全」か、ネットで賛否両論」J-CASTニュース2013/4/29)

その規制は既得権益擁護の動きに見える。日本は起業が乏しいとされるが、このような規制のあり方も背景にある。多くの起業は中小企業ですらない個人事業として出発する。銀行から大金を借りて、建物を借りて不動産業者を潤し、人を雇用するような起業こそが経済に貢献して素晴らしいというような経済観では起業の第一歩は生まれないだろう。
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