2015年2月3日火曜日

21世紀の資本

#税 #本が好き #資本主義 #社会
トマ・ピケティ『21世紀の資本』は格差の拡大に警鐘を鳴らした書籍である。資本の収益率が国民所得の収益率よりも高く、何もしなければ格差が拡大することを明らかにした。その対策として富裕層への課税強化などを提唱する。
本書の第一の価値は政策提言よりも分析にある。何もしなければ格差が拡大するにも関わらず、20世紀に格差が拡大しなかった理由は二度の世界大戦がある。戦争は富裕層にも直撃する。格差解消の強力な解決策は戦争という認めたくない結論になる。貧困の若者から「希望は戦争」との主張があったが、その直感も間違いではないことになる。
ピケティの提言については賛否が分かれるだろう。本書はトリクルダウン理論やアベノミクスを批判する側から喝采を浴びたが、その熱狂に身を委ねるには違和感を抱いた。資本蓄積の正当性・不当性ではなく、超大資本という現在の状態に対して規制を求めているように聞こえるからである。東急リバブル東急不動産が不利益事実を隠してマンションをだまし売りした東急不動産消費者契約法違反訴訟を出発点とする私にとって行為の不当性を追及したい。それがブラック企業や貧困ビジネスへの批判につながる。ブラック企業や貧困ビジネスは超大資本ではなく、零細資本であることさえある。だからと言ってブラック企業や貧困ビジネスの行為の悪質さに目をつぶり、巨悪は別にあると矛先をそらせる気にはならない。
本書は当初、『21世紀の資本論』と紹介されたために誤解されたが、カール・マルクス『資本論』を下敷きにしている訳ではない。むしろマルクス主義者ならば労働者搾取の視点がないと批判する内容である。私はブラック企業経営者のような悪い経営者の不当性を優先的な問題意識にしており、構造的に搾取階級と見る労働者搾取論には躊躇を覚える。それ故に日本共産党がブラック企業批判を掲げたことを非常に高く評価する。
躊躇を覚える労働者搾取論であるが、それでも搾取という行為の不当性を示す要素があった。それ以上にピケティの超大資本批判は、行為の不当性を問題にしたい立場からはギャップがある。

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