2015年2月11日水曜日

林田力書評・チェーザレ

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『チェーザレ』はチェーザレ・ボルジアを描く漫画である。第1巻はピサ大学の学生時代である。チェーザレは冷酷非道と評され、マキャベリが君主の手本とした人物として知られている。しかし、第1巻時点では人間味あり、公正な人物になっている。
本書はアンジェロというフィレンチェ閥の学生が視点人物になっている。当時の大学は各国から学生が集まる国際色豊かなものであったが、学生はフィレンチェ、フランス、スペインなど出身国毎に学生団を作り、まとまっていた。フィレンチェ閥のアンジェロがスペイン閥のチェーザレと仲良くなるところにチェーザレの人間的魅力を示している。
ルネサンス期のイタリアの歴史は日本人には知られていない。そのために日本人に分かりやすい物語にしようとすれば説明だらけになってしまう。この点、本書は工夫している。アンジェロは芸術家肌で世情に疎いという設定である。他のキャラクターが当時の社会・政治情勢をアンジェロに説明することで読者への説明にもなる。
この学生団は有力者の子弟がボスになり、取り巻きがいる。現代日本の学園もののスクールカーストと変わらない。フィレンチェの学生団のボスはメディチ家のジョバンニである。このジョバンニは、いかにも性格の悪い小人物の悪人顔に描かれている。アンジェロは天然とはいえ、ジョバンニを怒らせても仕方がないことをしている。実際にジョバンニは意趣返しをしているが、その後もアンジェロを食事会に呼ぶなど意外と公正な姿勢である。現代学園ドラマの小物悪役と異なり、歴史上の人物だけあって度量を備えている。

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