2015年1月26日月曜日

林田力書評・銀河英雄伝説ベルセルク編

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『銀河英雄伝説エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝ベルセルク編』は銀河英雄伝説の二次小説である。作品世界に転生した主人公が原作知識を活かして活躍する。ベルセルク編ではエーリッヒはブラウンシュバイク公の配下になっており、リップシュタット戦役では貴族連合軍としてラインハルトらと戦う。難易度の高いif物語である。救いは他のヴァレンシュタインと同じく、ブラウンシュバイク公やリッテンハイム侯が話のできる人物になっていることである。
本編では平民出身のエーリッヒの活躍は、ラインハルト以上に階級闘争の色彩が強かった。ところが、ベルセルク編は貴族連合軍として改革者ラインハルトと対峙するという倒錯的な状況である。しかし、マグナカルタの成立に見られるように貴族の反乱が民主化の一歩という面はある。フランス革命も貴族の抵抗が発端であった。ラインハルト流の上からの改革の方が不自然と見ることもできる。貴族連合軍が勝利することが皇帝専制に楔を打ち込む一歩というシナリオも成り立つ。
ベルセルク編でエーリッヒは焦土作戦を批判する。本編でも焦土作戦の問題は言及されていたが、ラインハルトの面前での糾弾は小気味良い。ロシア帝国のナポレオン戦争など焦土作戦は軍略として有効であるが、平民の味方を唱える人物のすることではない。

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