2014年10月11日土曜日

林田力書評・エレンディールはじまり

#書評 #小説 #読書 #新刊 華宮『エレンディール剣の聖女第三章中はじまり』はファンタジー小説の四冊目である。この巻では舞台が変わる。エモーヌが見る夢という形で、剣が造られた経緯が明らかになる。漫画『ワンピース』などでお馴染みの過去編である。剣は誕生当初から血塗られたものであった。
剣を持った人物が王に対してしたことは理解できる。虐げられた人間として当然の行動とも言える。そのまま王に捧げる方が支持できない。しかし、ヒムカの民にしたことは常軌を逸している。これは剣の持ち主から理由が説明される。剣の持ち主にとってヒムカを恨む理由はある。剣の持ち主がヒムカにしたことは異常であり、殺される側からはたまったものではないが、それでも憎しみを向ける理由は成り立つ。
社会問題になっているブラック企業も独裁者となっているブラック企業経営者だけの問題ではなく、平社員に至るまで無意識的なブラック企業体質が染み付いている企業もある。悪の本丸を倒せばハッピーというほど世の中は単純ではない。
前巻では殺戮を続ける剣の論理が語られた。それは道具として剣を活用しようとする人間の思い上がりを突くものであった。悪役には悪の魅力がないと物語は面白くない。悪役が卑怯な小心者ならば物語は興醒めである。悪役の論理が光る作品である。

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