2014年9月9日火曜日

林田力書評ゴールドスティン

#林田力 #書評 #新刊 #小説 『ゴールドスティン』。警察小説は警察側が主人公であるが、本書は冒頭から警察の腐敗に直面する。主人公からして一歩間違えれば腐敗警官になる。救いは日本の警察不祥事のような組織的な隠蔽はなく、自浄作用が働いていることである。
本書では主人公側が失態を繰り返すが、上述の問題もあり、逃げる側に感情移入したくなる。特に上巻のラストは笑ってしまった。
本書では暴力団組織に雇われた悪徳弁護士が登場する。現代日本で言えばブラック士業である。暴力団構成員の犯罪者を弁護するために証人の人格を攻撃する。「妹を巡る古い話をいくつか持ち出して、ルイーゼが見栄っ張りな娘だといって、学校で級長であることまで、そのろくでもない弁護士は妹のマイナス材料にした」(下巻263頁)。私も東急不動産消費者契約法違反訴訟で東急不動産の弁護士から年収やマンション管理組合理事長であることなどの暴露攻撃を受けたために、この憤りは共感できる。
本書は法治国家として捜査官の確信だけで逮捕できない刑事のもどかしい思いが語られる。「犯罪者が罰されずのうのうとしていたら、腹が立ちます。犯罪者だってわかっているのに、捕まえることができないのも悔しいものです」(下巻278頁)。
言うまでもなく法治主義は大切なものである。警察の人権意識が乏しく、思い込み捜査から自白を強要する冤罪が起きる日本では強調してもし過ぎることはない。それでも危険ドラッグが合法ハーブや脱法ハーブと称してインターネット上などで販売されている状況を見ると、同じ意識を抱きたくなる面もある。

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