2014年8月24日日曜日

空き家活用陳情江東区回答

希望のまち東京in東部は2014年7月7日に江東区長宛陳情「若者の自立支援政策を目的とした区内の空き家の実態調査とそれに基づく施策策定の陳情」を提出した。江東区からは8月4日付で回答が送付された。複数の所管が回答している。
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都市整備部住宅課長(2014年8月1日、26江政広第1253号)
本区では、ご意見にあります「住宅セーフティネット法」に基づいて「江東区居住支援協議会」を設置しております。この協議会は、江東区・東京都・不動産関連諸団体及び公的住宅事業者等で構成され、「低額所得者・被災者・高齢者・障害者・子育て世帯等」の住宅確保要配慮者への対策を官民共同で協議する団体となっております。この団体の取組として、現在、「高齢者世帯への民間賃貸住宅あっせん」を実施しておりますが、若年層の住宅確保要配慮者に対する施策については具体的な協議課題とはしておりません。

政策経営部広報公聴課長(2014年8月1日、26江都住第805号)
本区では「住宅支援給付事業」を実施し、離職により住居を失った(失うおそれがある)方で、就労能力と就労意欲のある方に一定期間家賃を支給しております。また社会福祉協議会でも、離職者により住居を失った方に敷金等の貸付を行っています。これらは対象を若者のみに特化したものではありませんが、若者も含めた離職者の住まいの確保に資する事業と位置づけております。
なお、本区におきましては、要求項目にありますような若者の自立支援政策を目的とした空き家の実態調査等を実施する予定はございませんが、本陳情は貴重なご意見として、今後の区政の参考にさせていただきます。
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空き家の増加が大きな問題になっている。地方自治体の取り組みは老朽空き家の撤去が中心である。これはスクラップアンドビルドの開発優先社会の延長線上の発想である。
安倍政権は中古住宅の流通促進という面から取り組んでいる。2013年6月14日に閣議決定した日本再興戦略では2020年までに中古住宅流通市場・リフォーム市場規模を2倍(20兆円)に拡大させるという目標を掲げた。
「我が国の住宅流通に占める中古住宅のシェアは、平成20年時点で約13.5%となっており、アメリカ(77.6%)やイギリス(88.8%)といった欧米諸国と比べて圧倒的に低い状況にある」(不動産流通市場活性化フォーラム『「不動産流通市場活性化フォーラム」提言』2012年、2頁)。
日本の住宅市場は新築住宅偏重であり、中古住宅流通市場の拡大は有意義な政策である。但し、日本の住宅政策の問題点である持ち家偏重からは抜け出せていない。希望のまち東京in東部の陳情は空き家を賃貸住宅として活用しようというものである。
たとえば以下の指摘がある。「家賃補助などを適切に講じることで、空き家を公営住宅の代わりとして、あるいは公営住宅を補完する目的で活用していく必要がある」(米山秀隆「空き家対策の最新事例と残された課題」富士通総研経済研究所・研究レポートNo.416、2014年、20頁)
今回の陳情には二つの特色がある。若年単身層へのフォーカスとモデル地区を指定しての調査である。前者は若年単身層が住まいの貧困に苦しみながらも住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)の直接の保護対象になっていないという制度の不備を埋めるものである。
江東区議会では2007年(平成19年)12月13日に「若年層の雇用と生活の確保に関する意見書」を採択し、若年層支援として住宅確保を求めている。
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厚生労働省は、就職と家の確保ができる支援を同時に進めることが必要として、住居と就職機会の確保を柱とした支援策を平成20年度から実施するとしている。しかしながら、厚生労働省の調査結果を踏まえると若年層を取り巻く環境は大変厳しい状況にあることから、より一層の支援強化に取り組む必要があると考える。よって、本区議会は、国会及び政府に対して、雇用法制を見直し、若年層の雇用機会の促進を図るとともに、住宅の確保等の支援策を緊急に実施することを強く求めるものである。
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後者は「空き家は点在しているため、それぞれの地域では大きな問題という共通理解がない」という空き家問題の難しさに対応したものである。その対策として「問題が切実で共通目標を立てやすい地域でモデルとなる事例を作る(モデル事業の実施)」と指摘されている(平竹耕三「コモンズ論—総有の事例と課題」第14回東京ベイエリア産学官連携シンポジウム「建築許可を中心とした都市法改正案と現代的総有の試み」芝浦工業大学2012年9月29日)。
これらの問題意識に江東区の回答が答えられていない点は残念である。今回はタイミング的にも残念であった点がある。
江東区の回答作成と前後して総務省が7月29日に「平成25年住宅・土地統計調査」を発表した。これは5年毎の統計である。2013年10月1日時点での総住宅数は6063万戸で、5年前(平成20年住宅・土地統計調査)と比較する305万戸も増加した。そのうちの820万戸が空き家である。空き家率は13.5%(819万6400戸)と2008年の前回調査と比べて0.4ポイント増加し、過去最高を更新した。東京都の空き家の割合は11.1%である。
空き家の内訳は、賃貸用の住宅が52.4%(429万戸)、売却用の住宅が3.8%(31万戸)である。住んでもらいたくても住まい手がいないといった住宅が空き家の過半数を占めていることになる(「空き家率は13.5%、崩れる住宅市場の需給バランス」ケンプラッツ2014年8月8日)。
この空き家増加という統計結果は深刻に受け止められ、報道でも空き家活用が提言されている。「利活用されていない空き家は、見方を変えれば「使いこなしてください」と言っている資源だ」(「820万の空き家と住まいダービー」ケンプラッツ2014年8月1日)。
「全国の820万戸の空き家もまた、寂しさを訴えているのかもしれない。とすれば、子育て世代向けの賃貸住宅やグループホームに転用するなどして、人のにぎわいを取り戻してやりたい」(「産経抄」産経新聞2014年8月4日)。
この統計と統計結果に対する反響を前提としたならば、別の回答があったのではないかと考える。逆に言えば今回の陳情には先進性があったことになる。今後も空き家活用に取り組んでいきたい。
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