2014年4月18日金曜日

林田力書評集

林田力『林田力書評集』(Amazonキンドル)は林田力の書評集である。東急不動産消費者契約法違反訴訟(東急不動産だまし売り裁判)原告として、住まいや裁判関連の書籍が多い。

『ブラック企業は国賊だ』は自民党代議士が雇用政策を提言した書籍である。「ブラック企業が社会的に淘汰されるような風潮をこれから醸成していかなければならない」とする(227頁)。
自民党にもブラック企業を明確に批判する代議士がいることは心強い。ブラック企業は自民党でも財界でも批判できるものである。ブラック企業は経済の発展を損なうものだからである。この考え方は逆に経済発展に資するならば搾取も正当化しかねない。それは人権をベースにしたブラック企業批判とはギャップがある。この点でも著者の姿勢は明瞭である。斜陽産業から成長産業へ労働力をシフトするために解雇規制緩和を求める見解があるが、著者は批判的である。「解雇ルールを緩和して解雇しやすくして、無理やり労働力を現在の産業から移動させるといった考え方には違和感を覚える」(208頁)。

日本住宅会議編『若者たちに「住まい」を!格差社会の住宅問題』(岩波ブックレット、2008年)は日本の住まいの貧困と住宅政策を論じたブックレットである。住まいの貧困は住宅政策の貧困が原因である。日本では住まいは不動産業者に委ねている。だからゼロゼロ物件のような低所得者を食い物にする貧困ビジネスがばっこする。
僅かに存在する住宅政策もファミリー向けばかりである。住宅ローン減税に至ってはマンション業者を喜ばせる景気対策に過ぎない。住まいに困っている人々が分譲マンションを購入することは元々ない。住まいに困っている人々のための政策になっていない。住まいの貧困などの問題を取り上げると必ず新自由主義批判が出てくるが、新自由主義以前に再配分の不公正が問題である。
本書では新しい動きとして、シェアハウスも取り上げている。一つの部屋に仕切りを設けて何人も住まわせる脱法ハウスではなく、ファミリー向け住宅を複数の単身者がシェアする形態である。家賃の安さだけでなく、「集まって住むことの安心感やお互いに触れ合うこと」というメリットもある。さらにシェアハウスにはワンルームマンションを増やさないという地域的なメリットもある(49頁)。ワンルームマンションは地域環境を破壊するとして建設反対運動が起きている。マンション業者の言い分は借り手がいるとなる。しかし、ファミリー向けの空き家をシェアハウスにリフォームすれば、ワンルームマンションを新たに建設しなくても済む。
私は東急不動産だまし売り裁判原告として、住まいの運動とマンション建設反対の住民運動の連携を考えてきた。住まいの運動と建設反対運動では担い手や思考に差異があり、決して容易ではないが、その一つの方向性が見出だせる。

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