2014年3月25日火曜日

アンヌウヴンの貴公子

#書評 エヴァンジェリン・ウォルトン著、田村美佐子訳『アンヌウヴンの貴公子』は中世ウェールズを舞台とした神話ファンタジーである。本書は大きく二つの話からなる。共にタヴェドの大公を主人公とする連続した話であるが、赴きは異なる。前半は純粋な冒険物語として楽しめる。後半も不思議な冒険物語であるが、それだけではない。神話が人々を支配の道具として使われている実態が描かれている。ドルイドの長老はフィクションであることを知りながら、説教する。それは男性優位か女性優位かという社会のあり方とも関わってくる。
アメリカの作家がウェールズ神話に基づいて書いた。ウェールズはイングランドに支配された場所である。被支配民族の神話に基づいた小説シリーズが刊行されることが興味深い。日本文学において、アイヌ神話が同じくらい評価されているだろうか。

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