2013年11月13日水曜日

ダンダリン七話

#ダンダリン
ダンダリン七話。労災の話題である。労災は過労死でも問題になる。社内イジメ、労災隠しが出てくる。東急ハンズ過労死でもパワハラが原因の一つである(林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』Amazonキンドル)。
冒頭では南三条がフューチャーされる。南三条はダンダリンの指導係でダンダリンと接点が深い。ダンダリンの影響を受けていることがコミカルに描かれる。南三条はブラック士業から引き抜きの誘いを受けていた。ブラック士業の側に行かず、労働基準監督官のモチベーションを高めることは喜ばしいことである。
南三条のモチベーションが高く、ダンダリンと攻守逆転した趣である。登場人物のパターンをひねって面白い。ダンダ化という言葉まで生み出すほど作品世界が濃厚である。

「いつか来た道」的な反戦平和や護憲への過剰な思い入れは、現役世代や若年層を左翼から遠ざける要因になる。運動の出し方を考えて欲しいと願うものの、難しいとも思う。
参院選東京選挙区の分析が興味深い。本書は山本太郎が比例区で維新、みんな、民主に投票した層からも投票されたと分析する。吉良佳子と山本太郎が「吉良を支持するような革新票と、山本を支持するようなリベラル票」とすみわけしたと分析する(166頁)。
山本が第三極支持層からも集票したとの指摘は理解できる。というよりも、そのように考えなければ計算が合わない。比例では第三極に投票したことから彼らを「革新票」と対比して「リベラル層」と名付けたくなることも理解できる。しかし、そうなると革新は共産党だけで、山本太郎を支持した社民党は革新でないということになる。
より重要な問題は山本太郎は「リベラル層」の支持に値する候補者かという点である。瓦礫焼却阻止への肩入れや過激派との接点が指摘されるように共産党よりも過激である。本書は「反原発、反TPP、反改憲を志向する層は、比例では、維新の会やみんなの党に入れている部分も少なくない」と分析するが(165頁)、逆ではないか。第3極支持層が山本太郎の本質を知らずに有名人ということで投票してしまったということではないか。山本太郎への得票から反TPP、反改憲に支持があると分析することは危険である。

構造改革路線の対立軸と考える脱原発も、電力自由化という構造改革が不徹底のために原発という非効率で不経済な発電方法が温存されたためと見ることができる。
共産党の躍進はアベノミクスへの明確な対案提示と見る点は支持できる。しかし、それは必ずしも構造改革への対案ではない。むしろ共産党は古くから構造改革への対案を提示してきたが、伸び悩んできた。市民にとって純理論的な構造改革は否定すべきものではない。共産党は都議選では外環道という具体例を出して大型開発を批判し、開発予算を福祉予算に回すことを訴えた。これは構造改革よりも、従来型土建政治への対案である。
参院選ではブラック企業批判に注力した。構造改革や大企業といった抽象的なものではなく、ブラック企業という具体的な社会悪を批判した。
本書ではブラック企業批判には触れず、反貧困でまとめているが、反貧困とブラック企業批判は少し意味合いが異なる。格差社会の過酷な実態は多くの人の同情心を誘う。派遣村が典型である。しかし、困っている人を救うという論理には弱さがある。パチンコで乱費するなど貧困者の側の問題を強調することで同情心は霧消するためである。実際に生活保護バッシングによって反貧困運動は守勢に立たされた。これに対してブラック企業批判は異なる。ブラック企業という搾取者を批判するものであり、ブラック企業被害者の道徳性は問題にならない。これがブラック企業批判の論理的強みである。

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