2013年11月22日金曜日

『オリーブも含めて』

アンドレア・ヴィターリ著、久保耕司訳『オリーブも含めて』(シーライト・パブリッシング、2013年)は近代イタリアを舞台とした小説である。物語は老婦人の死亡で幕を開ける。そのためにミステリー小説と勝手に予想したが、見事に外れた。

視点人物が次々と変わり、物語の方向性が見えない。登場人物が多いが、誰が主要登場人物になるのか予想がつかない。おまけにイタリア人の名前は日本人に馴染みがなく、覚えにくい。ドストエフスキーの小説と似たような感覚になる。

やがて物語は不良少年グループの犯罪に行き着く。この不良少年グループは様々な問題を起こしていた。日本でも関東連合など元暴走族の犯罪が社会を震撼させた。国や地域が違っても、社会を腐らせる要素は類似する。

当時のイタリアはムッソリーニのファシスト党による全体主義体制である。そのような社会でもヤンキーは困り者であり、害悪であった。当時のイタリアに比べ、はるかに自由な現代日本でヤンキーが大きな社会問題になることは納得できる。

日本ではヤンキーの取り締まりのために人権の制限となる規制強化を容認する論調がある。それはヤンキー以外にも矛先が向かう可能性がある危険な論調ではある。しかし、本書のような全体主義体制でもヤンキーが厄介者であったことを考えると、ヤンキーへの厳しい取り締まりを支持する声が強くなることも首肯できる。

タイトルの「オリーブも含めて」は原題の直訳である。何故、「オリーブも含めて」がタイトルであるかは中々分からない。表紙の綺麗な絵には欺かれる。流石はラテンの国の小説と思わせる。登場人物が全て幸せではないが、明るい読後感を与える作品である。
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