2013年11月3日日曜日

オリーブも含めて

アンドレア・ヴィターリ著、久保耕司訳『オリーブも含めて』(シーライト・パブリッシング、2013年)は近代イタリアを舞台とした小説である。冒頭は視点人物が次々と変わり、物語の方向性が見えない。登場人物が多いが、誰が主要登場人物になるのか予想がつかない。おまけにイタリア人の名前は日本人に馴染みがなく、覚えにくい。ドストエフスキーの小説と似たような感覚になる。
やがて物語は不良少年グループの犯罪に行き着く。この不良少年グループは様々な問題を起こしていた。日本でも関東連合など元暴走族の犯罪が社会を震撼させた。国や地域が違っても、社会を腐らせる要素は類似する。
当時のイタリアはファシストの全体主義体制である。そのような社会でもヤンキーは困り者であり、害悪であった。現代日本でヤンキーが大きな社会問題になることも納得である。
日本ではヤンキーの取り締まりのために人権の制限となる規制強化を容認する論調がある。それはヤンキー以外にも矛先が向かう可能性がある危険な論調ではある。しかし、本書のように全体主義体制でもヤンキーが厄介者であったことを考えると、ヤンキーへの厳しい取り締まりは正当化せざるを得ないだろう。

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