2013年10月6日日曜日

生活保護v林田力wiki書評

今野晴貴『生活保護・知られざる恐怖の現場』(ちくま新書、2013年)は生活保護の過酷な実態を明らかにしたノンフィクションである。著者はブラック企業の告発で著名である。ブラック企業と生活保護は共に貧困と格差の問題である。東急ハンズ過労死事件に際し、インターネット上で過労死批判者を生活保護受給者と決めつけ、生活保護バッシングをすることで東急ハンズのブラック企業体質を擁護する主張がなされた。このように生活保護バッシングとブラック企業擁護はリンクしている。
本書は世間に蔓延する生活保護バッシングへの反論書である。本書は生活保護受給者は楽して金が入ってくるという通念の誤りを指摘する。生活保護受給者は「行政による人生の全面的掌握を要求されている」(106頁)。生活保護受給者はプライバシーも人間の尊厳も失う扱いを受ける。
本書ではポッセへの相談事例を中心に様々な生活保護の違法行政事例が紹介されている。それらの原因は行政がシイ的であることである。「当たった行政官次第で、運命が変わってしまうという恐ろしい行政システム」である(121頁)。本書が批判する度を越した就労指導にしても、本人が気合いを入れて頑張ることで就職先を見つけろという精神論に過ぎない。それで自立が促進される筈がない。この種の精神論による克服はブラック企業でも共通する。
本書は無料低額宿泊所などの貧困ビジネスも批判する。「宿泊所を一種のセーフティネットとみなして肯定的に評価する論者もいるが、賛成できない」(135頁)。貧困ビジネスという悪徳業者への批判姿勢は、ブラック企業という悪徳企業と戦う著者らしい。

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