2013年10月26日土曜日

徳の政治v林田力Amazonレビュー

佐藤賢一『小説フランス革命・徳の政治』はロベスピエールらジャコバン派の独裁確立期を描く。左のエベール派、右のダントン派を粛清する。
小説フランス革命シリーズで革命の理想に燃える熱い人物として描かれたロベスピエールであるが、この巻では精彩に欠ける。サン・ジュストにいいようにされているイメージである。
ダントン派の粛清もサン・ジュストが熱心に進めたものであるが、ロベスピエールの内に秘められた人間臭く俗っぽい思いが明らかになる。フランス革命シリーズでは抑制的であったが、濃厚な性意識を特徴とする著者らしさが出ている。
死刑の直前にエベールはロベスピエールの悪臭に気づき、笑いながらギロチンにかけられた。下品さを売りにするエベールからも臭いと評されたロベスピエールが内に抱える醜い感情が後半に明らかになる。
サン・ジュストの有名な言葉に「革命は凍りついた」というものがある。テルミドール反動の直前の言葉とされる。本書では、このタイミングで発言させるかというところで出てくる。小説フランス革命シリーズも最後の一巻を残すが、後は下り坂しかない幕切れである。著者は『オクシタニア』など歴史上の敗者を描きながらも、清々しさを出している。どう見てもロベスピエールに救いはなさそうであるが、どのような結末になるか注目する。

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