2013年10月28日月曜日

ダンダリン・ブラック士業

ブラック士業は意味ありげに目を細め、目では狡そうに笑いながら、口は石のように強ばらせていた。ブラック士業は、あらゆる労働、肉体労働にも精神労働にも不向きな労働不適格者であった。
『ダンダリン労働基準監督官』4話はブラック士業の指南による内定切りである。内定切りは違法であるために、ブラック士業は内定者に内定者研修で過酷なノルマを課して自発的に内定を辞退させるように仕向ける。ブラック企業問題の根源であるブラック士業の問題に切り込む。課長に「企業のリクエストに応えるためには労働者の犠牲はいとわない」と言わせている。
『ダンダリン』はブラック企業という深刻な問題を扱う。その割には労働基準監督所内のやり取りはコミカルで、深刻な問題にそぐわないとの批判がある。しかし、ブラック企業摘発に燃える熱血公務員というのも気持ち悪い。ブラック企業摘発自体は正しいことであるが、熱血のような精神論はブラック企業の元凶でもある。コミカルに描いた方がいい。特殊日本的精神論のガンバリズムよりも、学生時代のアルバイト先でのセクハラ被害の復讐心が動機の方が人間的である。逆にトカゲの尻尾切りにあった人事部長のために涙を流すダンダリンはやり過ぎの感がある。
ダンダリンは「企業が潰れるのは経営者の責任です。そのしわ寄せを労働者に転嫁することは許されません」と言っている。内定切りは人事部長の責任であり、人事部長が責任を負うことは当然である。無実の人がスケープゴートにされた問題とは次元が異なる。たとえ社長の命令やブラック士業の指南に従っただけであるとしても、人事部長は人事部門の責任者として違法な内定切りの責任を免れない。人事部長に同情を寄せることで、ブラック士業を悪の根源とする演出が際立つとの見方も成り立つ。しかし、ブラック士業の言うがままに行動した人物にも責任はある。ブラック士業の最大の被害者はブラック士業と闘わなければならない相手方である。ブラック士業の依頼者がデメリットを受けてこそ、ブラック士業撲滅につながる。
今回の内定切りの原因は、東南アジアに進出した工場の損失である。中国リスク回避などを理由に東南アジア進出が煽られるが、日本の若者に不利益になる構図が浮かび上がる。

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