2013年8月3日土曜日

ワンピース71林田力Amazon書評

尾田栄一郎『ワンピース71』(集英社、2013年)はドレスローザ編に突入する。ドレスローザはドンキホーテ・ドフラミンゴの本拠地である。四皇や海軍大将という大物が控えている中では、チンピラ・ヤンキー風のドフラミンゴは小物臭い。革命軍の動向など世界の謎を知りたい向きにはドレスローザ編自体が引き延ばしのための無駄な話に思えてくる。
ドンキホーテ・ファミリーは、これまでルフィ達が対決してきた海賊団よりも強力な組織であることが明らかになったが、ドフラミンゴは若様と呼ばれており、ドフラミンゴ一人だけの力で築いた訳ではなさそうである。格差が相続される格差社会を反映するような設定である。
元々期待値の低かったドレスローザ編であるが、新キャラクターが次々と登場しては互いに潰しあう展開は一層引き延ばし戦略を実感させる。それでも玩具や小人などドンキホーテ・ファミリーに虐げられた人々の存在が描かれ、空島編やウォーターセブン編のような大きな物語になることを予想させる。
ワンピースの初期の枠組みでは住民全てに害をなす無法者の海賊をルフィ達が倒す構造であった。これに対してドレスローザの一般国民はドンキホーテ・ファミリーに直接的に虐げられている訳ではない。むしろ経済的反映を享受している。一方で一部の玩具や小人など虐げられている人々も存在する。これは一部が貧困と格差に苦しむ日本社会と重なる。そしてルフィ達は彼らの側に立ってドンキホーテ・ファミリーと戦うことになりそうである。ワンピースは空島編ではパレスチナ問題、魚人島編ではヘイトスピーチを連想させた。直前のパンクハザード編では薬物問題を扱い、脱法ハーブ、脱法ドラッグ蔓延の社会情勢に重なる。ドレスローザ編も奥深い話になりそうである。日本で最も人気を誇るエンタメ作品が社会性を有していることは喜ばしいことである。

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