2013年7月23日火曜日

ムーンズエンド荘の殺人

エリック・キース著、森沢くみ子訳『ムーンズエンド荘の殺人』(創元推理文庫、2013年)は外界から遮断された雪の山荘での連続殺人を描くミステリーである。
閉鎖空間の連続殺人はミステリーとして、ありがちな設定であるが、殺され方に意表を突かれる。また、多くの推理小説は視点人物が探偵か探偵の連れに固定されているが、本書では山荘に閉じ込められた人々が次々に視点人物になる。しかも、彼らは皆、何らかの後ろめたい事情を抱えている。そして、それらの事情が相互に絡まりあっている。このために全く予想ができない展開になっている。
推理小説には高度なリアリティが求められる。日本社会の現実に当てはめるならば、見込み捜査による冤罪という問題を考えてしまう。この点で本書には興味深い会話がある。
「おれに一人当たり十五分くれるなら、犯人から自供を引き出してみせるぜ」
「六人の無実の容疑者からもな」112頁。
自白を強要することで冤罪を産み出すとの指摘である。

0 件のコメント:

コメントを投稿