2013年7月18日木曜日

不思議の国の「みなみ」

舞尾空『不思議の国の「みなみ」宇宙へつながる秘密基地』は大阪に住む40代男性の不思議な体験を描いた物語である。主人公は四天王寺を散歩中に時空を越えた不思議の国に迷い込み、みなみちゃんという女の子の外見をした超自然的存在(龍女)に出会う。みなみちゃんの導きで、元の時間軸に戻るまでの物語である。といっても冒険活劇のようなストーリー展開がある訳ではない。大半が主人公と、みなみちゃんの哲学問答に費やされる。その内容はオルタナティブな世界に属するものである。神話や風水をベースにしながらも、虚数という数学的な話題も織り込む。東日本大震災や福島第一原発にも言及する。全くのファンタジーではないが、科学が万能、科学で明らかにならないものはないという科学信奉にも陥っていない。
著者は技術系の研究職とされる。技術研究者が科学の限界を自覚する意義は大きい。本書にも大きな影を落としている福島第一原発事故は技術的対策の不備という点でも批判されるが、その後の脱原発運動の高まりは巨大科学技術への不信という点からも説明できる。

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