2013年5月21日火曜日

黒い壁の秘密

グリン・カー『黒い壁の秘密』はイギリスのミステリーである。探偵役の主人公アバークロンビー・リューカーはシェイクスピア俳優である。各章の見出しは『リチャード三世』からとっている。主人公を始めとする登場人物の台詞にもシェイクスピアや様々な作品の台詞が使われる。それによって物語を芝居かかった雰囲気にしている。現代日本でもシェイクスピアを引用した『テンペスト』という漫画があった(林田力『二子玉川ライズ反対運動9ブランズ二子玉川の複合被害』Amazonキンドル)。既にイギリスでは1952年の段階で同じ効果を持つ作品が出されていた。
出版当時は第二次世界大戦終結から10年も経っていない時期である。人の死に冷たい反応する人物が登場する。彼がそのようになった原因は「日本軍の手に落ちて、長いこと捕虜になっていた」ためである(98頁)。日本軍の捕虜への非人道的扱いは小説世界でも常識になっている。日本の侵略戦争を美化する右翼的言説に対してアジア諸国だけでなく、欧米からも強く批判されることがある。

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