2013年3月26日火曜日

谷恒生『千利休の謀略』

谷恒生『千利休の謀略』(河出文庫)は千利休と豊臣秀吉の暗闘を描いた歴史小説である。利休と秀吉の対立は芸術家と権力者の対立と捉えられることが多い。これに対して『千利休の謀略』では国家戦略を有する人物と卑小な権力者の対立として描く。

『千利休の謀略』は山崎の合戦直後から始まる。ここから関白就任、天下統一に至る過程は豊臣秀吉の絶頂期である。秀吉が最も輝いていた時期である。これに対して『千利休の謀略』の秀吉は利休の考えを理解できず、酒に溺れている。この描き方は新鮮である。天下統一後の秀吉が黒田官兵衛(黒田如水)を遠ざけた理由は、官兵衛の才能を恐れたためと説明されることが多いが、『千利休の謀略』ではユニークな理由としている。
http://www.hayariki.net/eco/19.htm
『千利休の謀略』では利休は秀吉よりも織田信長の影響を受けている。本能寺での信長の死によって自分も死んだと位置付けるほどである。織田信長の影響の強さは武田正受庵『妻・宗恩の語る利休の貌』とも共通する。『妻・宗恩の語る利休の貌』では千利休の茶道の大成には織田信長の茶道の影響があったと分析していた。

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