2013年3月18日月曜日

林田力ブログ書評『ワンピース』55巻

本書(尾田栄一郎『ONE PIECE 第55巻』集英社、2009年9月4日発売)は週刊少年ジャンプで連載中の漫画の単行本である。架空の世界を舞台に、主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わら海賊団が「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求める冒険漫画である。

前巻に引き続き、兄エースを救うために海底監獄インペルタウンに侵入したルフィを中心に物語は進行する。ルフィの前に立ちはだかったのは監獄署長・マゼランであった。マゼランは下痢ばかりで勤務時間は短く、副署長ハンニャバルからは署長の座を狙われるなど三枚目的なキャラクターであった。しかし、ルフィと対峙したマゼランは大監獄の長にふさわしい強さを見せた。

この巻の特徴はインパクトのある新キャラクターが登場することである。その名もオカマ王エンポリオ・イワンコフである。目に焼きついてしまう強烈なビジュアルである。単なるウインクで砲弾を弾き返してしまう理屈を越えた存在である。

インペルタウン編では懐かしいキャラクターが再登場し、ルフィと共闘する。その中でもボン・クレーの活躍が目立つが、オカマつながりでイワンコフに結びつける役回りを果たしている。意味なく過去のキャラクターを登場させている訳ではなく、新たな展開への橋渡し役である。

「昨日の敵は今日の友」という展開はバトル物では王道的だが、ワンパターンに陥る危険がある。むしろ『ONE PIECE』の魅力は登場人物が信念を貫き、安易な「昨日の敵は今日の友」展開にならないことである。麦わら海賊団の一員になったニコ・ロビンはアラバスタ編では敵組織バロック・ワークスの幹部であったが、ルフィ達とは戦わず、反対にルフィを助けていた。

この巻ではルフィとボン・クレーの熱い友情が描かれ、非常に感動的である。しかし、ルフィはボン・クレーを「友達」と呼び、決して「仲間」とは言わない。ここにはゾロやナミ達への対応とは明確な相違がある。この巻では麦わら海賊団の仲間達は扉絵以外には登場しないが、かえってルフィと仲間達の絆を再確認させられた。
[asin:B00B0O1ONC:detail]
[asin:B00B1WAJAC:detail]

0 件のコメント:

コメントを投稿