2013年3月18日月曜日

林田力ブログ書評『ワンピース』54巻

本書(尾田栄一郎『ONE PIECE 第54巻』集英社、2009年6月4日発売)は週刊少年ジャンプで連載中の漫画の単行本である。架空の世界を舞台に、主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わら海賊団が「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求める冒険漫画である。

『ONE PIECE』は押しも押されもせぬ大人気少年漫画である。但し、連載長期化につれグダグダ感も出てきた。それは戦闘シーンが多いことにより、展開が遅くなることである。元々『ONE PIECE』は戦闘よりも冒険がテーマの漫画である。修行して強くなることよりも、自らの信念を貫くことに価値を見出している。

しかし仲間の一人ひとりが敵の一人ひとりと対決することになり、戦闘終結まで長期化する傾向が見られた。これがアラバスタ、空島、エニエスロビー、スリラーバークで繰り返されてきた。この展開は仲間の一人ひとりに見せ場を作ることができるというメリットがある。一方で麦わら海賊団は冒険の度に仲間が増えており、この傾向が繰り返されるならば話が終わらなくなってしまう。
http://hayariki.net/onepi.html
ところが最近は、このグダグダ感が解消されている。バーソロミュー・くまによって仲間達が世界各地に飛ばされ、ルフィは一人ぼっちになってしまった。この巻ではルフィが兄のエースを救出するために海底監獄インペルタウンに乗り込む。

インペルタウンは階層化された監獄である。ベタな少年漫画的展開ではワンフロアを進む毎に当該フロアを守る敵を倒す形になりやすい。週刊少年ジャンプの黄金期では『ドラゴンボール』のマッスルタワーや『幽☆遊☆白書』の四聖獣が相当する。ところが、インペルタウンでは正面からのバトルはそれほどない。衝突は常に起きているが、戦いというよりも縦横無尽に暴れまくる感じである。そのためにテンポよく読み進めることができる。

戦闘は少年漫画の花形である。当初は一話完結のギャグ漫画であったにもかかわらず、バトル漫画に路線変更することで人気を博した漫画は多い。古くは『キン肉マン』があり、最近では『家庭教師ヒットマンREBORN!』がある。これに対し、『ONE PIECE』はバトル要素を薄めることで、むしろ面白さが増している。『ONE PIECE』は人気漫画の中でも頭一つ抜けた存在であり、そこでは一般的な少年漫画のセオリー通りにはなっていない点が興味深い。

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