2013年2月24日日曜日

公共事業ありきの補正予算反対院内集会4

院内集会について興味深い点を2点コメントする。

第一に無駄な公共事業批判の主張が守勢に回されていることである。集会では「公共事業全てを批判するつもりはない」「老朽化対策は必要」などの説明が強調された。「コンクリートから人へ」とコンクリート(開発)と人間を二項対立で位置づけ、コンクリートを全否定したキャッチフレーズが流布された時期と比べると後退が著しい。

確かに「コンクリートから人へ」の二項対立は不必要に対立を煽る側面がある(林田力「土建政治からの転換を目指す世田谷区長選・黒木実候補」PJニュース2011年2月28日)。それでも理念としての正しさを支持する立場からは正面からコンクリートを批判することが憚られる状況は残念である。

公共事業増大は特定業者を潤すだけで景気回復効果はない。反対に公共事業依存の産業構造を温存することで日本経済の競争力を奪う。これが失われた10年の背景であり、小泉構造改革登場の要因であった。いまさら失敗が実証済みのケインズ的積極財政が持ち出され、十分に批判できないことは日本社会の劣化を示している。

この状況において院内集会で打ち出された有力な論理は「新規大型事業よりも維持補修に」であった。これは分かりやすいが、維持補修は現状維持的である。最先端のトレンドには、堤防をなくして川を自然な蛇行状態に戻す、超高層ビルを減築して低層住宅地にするなどの動きがある(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「二子玉川ライズは減築を」)。これこそ「コンクリートから人へ」である。しかも、自然や人に優しい形に作り直すという建築需要も生み出される点で、建設業者にも実を取らせることができる。この点ではスリット化を提言した砂防ダム問題の運動に注目する。

第二に政治的な争点形成についてである。五十嵐敬喜教授は、無駄な公共事業批判を争点として、日本維新の会までを含む連携を考えるべきと指摘した。これは多数派構築の現実的主張として注目に値する。

参院選に向けて市民運動側では護憲を軸に結集する動きが出ている。改憲への危機感は正しいが、自民党が改憲を主要争点として打ち出す可能性は高くない。北朝鮮がミサイル発射実験でミサイルを日本領海に落とす、中国が尖閣諸島で自衛隊や海上保安庁を攻撃するなど日本の世論が憤激する事態が起こらない限り、改憲を争点に勝負を挑まないと予想される。
http://www.hayariki.net/cul/13.htm
改憲を争点にしないことは改憲を争点とすることが得策ではないと考えるためであり、それは護憲運動を侮りがたいと考えているためである。その意味で護憲運動が危機感を高めて活動を強化することは正しい。自民党が改憲を争点から避けようとするならば、それは護憲運動の一つの局地戦での勝利である。

しかし、選挙戦では護憲にこだわればこだわるほど、一般有権者の関心から遊離し、惨敗する危険が高い。先の総選挙で未来の党や共産党、社民党が脱原発で支持を広げられなかったことと同じである。脱原発以上に護憲運動は一般の有権者には敷居が高い。
http://www.mynewsjapan.com/reports/1101
教条主義的な左派は、みんなの党や維新を毛嫌いする。自民党に対する以上に敵視する傾向がある。しかし、みんなの党や日本維新の会には有権者の問題意識に応えている面があり、支持される理由はある。公共事業増大による景気浮揚は純理論的な新自由主義からも批判されるものである。みんなの党は補正予算案に反対した。院内集会でも、みんなの党の柿沢未途議員の予算委員会での主張が紹介された。

教条主義的左派が、みんなの党や維新を敵視することは損失をもたらす。管見は東京都知事選挙での宇都宮けんじ候補の選挙戦略として脱原発で共闘できる、みんなの党支持層への浸透を主張した。維新までも味方にしようとする五十嵐教授の構想は壮大である。リベラルな多数派形成の争点形成を考える必要がある。
Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 7 (Japanese Edition) eBook: Hayashida Riki: Amazon.co.uk: Kindle Store
http://www.amazon.co.uk/dp/B00BH4QW4Q

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