2013年1月30日水曜日

新世界より下巻v林田力Amazon

『新世界より』は超能力が使える千年後の関東地方を舞台としたSFホラー小説である。アニメにもなった。
千年後の世界は文明は崩壊し、人々は牧歌的な生活を送っていた。人間社会は呪力と呼ばれる超能力で支えられていた。ユートピア的な世界であったが、実はディストピアであった。
世界観設定には舌を巻くが、感情移入しにくい点は主人公が体制側の人間になることである。社会の維持安定のために不安分子を排除することは管理統制社会そのものである。主人公の親友に大人達の欺瞞を明白に語らせている。この展開では主人公が体制を破壊する側に立つことが自然であるが、そうなっていない。反対に虐げられ、搾取されてきた生物への無理解も露呈する。
体制の中から体制を変えていくという試みも意味があるものである。妄想的な革命家よりも余程真面目に社会を考えている。しかし、『新世界より』では主人公は指導的立場に立つことを期待された存在であり、大人が敷いたレールの上を走っているだけとも受け取れる。

超能力が使えたらいいと思うことは少なくない。『新世界より』は超能力が使えるようになった場合の問題点を明らかにする。超能力は人間の意識によって物理法則に影響を与える。超能力が使えるならば人間の深層意識が世界に影響を及ぼすことも考えられる。その怖さを『新世界より』は描いている。林田力wiki
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