2013年1月24日木曜日

二子玉川ライズ強風対策検討会が始動

東京都世田谷区玉川の二子玉川ライズのビル風問題について、世田谷区民有志4人は2013年1月18日、世田谷区役所で堀川雄人・生活拠点整備担当部長ら区職員と協議した。2012年9月18日や12月4日の協議の続きである。
検討会の発足が説明されるなど二子玉川ライズのビル風対策に世田谷区が動き出していることが明らかになった。一方で問題の深刻さの認識や解決までの時間間隔について住民とのギャップが改めて浮き彫りになった。検討会は実務家や研究者の人選が決まり、会合も1月下旬から始まるが、住民側の傍聴要求には消極的な回答であった。住民側は住民不在で解決策が決められ、それが実施され、解決されたことになってしまうことを懸念する。
また、集められた専門家は風工学の専門家で、風害を起こさないような設計とすることはできるが、二子玉川ライズ1期ビルは竣工し、2期ビルは建設中である。現に起きているビル風を避けるために歩道橋を作るなどの検討が可能かという問題もある。
住民側は二子玉川東地区第一種市街地再開発組合が採取した風速データを検討会で分析することを求めたが、これにも消極的であった。世田谷区は区で新たに採取することに拘るが、二子玉川ライズ2期ビル建設中という環境が変わりつつある状態でのデータには問題がある。測定場所についても区が多摩堤通りの横断歩道を挙げたのに対し、住民側は二子玉川ライズのビルの屋上や中間点での測定も必要と主張した。
総じて住民からの指摘には「現実的には難しい」的な紋切り型の回答が目立った。反射的な返答である。先ずは考えて、やってみて、どうしても「これば実現できない」「この問題を解決しなければ実現できない」となる。しかし、そこまで具体的に検討しているようには見えなかった。
懸案の多摩堤通り横断対策について住民側からは「屋根つきの歩道橋」や「地下道」を求める声が出ているが、世田谷区側の反応は消極的であった。2012年9月18日の協議で期待を持たせた状況からは後退している。世田谷区が再開発組合に実施させるスタンスであったことを踏まえるならば、再開発組合に打診して拒否されたと想像できる。
その背景には東急電鉄・東急不動産の住民無視の姿勢がある。地下道にしても歩道橋にしても本来は二子玉川ライズのメリットになる。地下道を「二子玉川ライズ ショッピングセンター」の地下街に連結する。二期事業で建設するペデストリアンデッキを南側にも伸ばして多摩堤通りの歩道橋にする。これらによって二子玉川南地区の住民を買い物客として取り込むことができる。この程度の開発戦略もないところに東急電鉄や東急不動産の救い難い住民無視の体質がある(林田力『二子玉川ライズ反対運動4』「二子玉川ライズ強風対策工程表案の意義」)。
協議では強風時の誘導員がバス乗降客しか補助せず、南地区からの歩行者を無視していると指摘された。東急が二子玉川南地区を頑なまでに無視する背景としてスーパー堤防建設で南地区が全面的に再開発されることを見越しているのではないかと勘繰りたくなる。二子玉川ライズは二子玉川南地区を哀れなバンツースタンBantustans(南アフリカ共和国がアパルトヘイト政策に基づいて設置した黒人居住地域)にしようとしているかのようである。
前回協議からの継続課題として、強風時の補助員の行動基準とファーストフード店からの悪臭・熱風問題がある。強風時に補助員が出ていないという問題については、現状では防災センターの責任者が歩行困難な状況か判断するということになっている。つまり防災センターの責任者が歩行困難な状況ではないと判断すれば、どれほど現実に歩行者が困っていても補助員を出さなくていいということになる。
誘導員配置要請に対して二子玉川ライズ側は「コストがかかる」との開き直りの回答もあったという。東京スカイツリーでは落雪被害を避けるために約60人の警備員を配置して目視で警戒する(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「東京スカイツリーの落雪被害」)。東急電鉄・東急不動産のデベロッパーとしての格の低さが表れている。
この問題での二子玉川ライズ側の対応の悪さは世田谷区担当者も認めるところであり、二子玉川ライズの良識と自主性に期待しては住民の安心・安全は守れない。世田谷区が二子玉川ライズからコストを徴収して歩行者の誘導・補助員を雇うというアプローチも考える価値がある。これは地域雇用問題への取り組みにもなる(林田力『二子玉川ライズ反対運動4』「二子玉川ライズ強風対策で定点測定」)。
http://www.hayariki.net/cul/faqindex.htm
ファーストフード店からの悪臭・熱風問題は冬になっているために、それほど住民も気にならなくなったという実態がある。本格的な対策は完了していないとのことであった。毎年、夏は住民の苦情があっても、時間稼ぎして冬になれば自然と住民の不満も小さくなると二子玉川ライズ側が考えているのではないかとの懸念もある。二子玉川ライズは口先だけのコミットメントを継続することで、住民の不満から逃げたいと考えているようである。これは戦術的には狡猾であるが、長期的な戦略ビジョンは一切示しておらず、住民と向き合っていない。
このように問題の元凶は二子玉川ライズにあり、世田谷区には身勝手な東急の後始末をさせられる被害者として同情の余地があることも否定しない。二子玉川ライズは世田谷区にとって荷物である。しかし、世田谷区も二子玉川再開発を推進した立場であり、責任は免れない。
二子玉川ライズ風害は世田谷区議会でも取り上げられている。2012年11月の第四回定例会では、みんなの党・行革110番の桃野よしふみ議員がビル風対策を迫った。桃野議員は二子玉川再開発に伴う風害は未解決とし、専門家を含めたチームを結成し、地下道などの設置も視野に入れ、一段と風が強まる春までの解決を求めた。ここでは「地下道」「春までの解決」と解決策や期限を具体化している。これが住民の感覚である。

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