2012年12月2日日曜日

大高忍『マギ』書評 林田力 wiki

大高忍『マギ』はアラビアンナイト風の世界を舞台としたファンタジー漫画である。『週刊少年サンデー』(小学館)に連載中である。アニメ化もされている。

第2巻ではダンジョン攻略が完結する。物語の冒頭でダンジョンという大きな謎が提示されながら、僅か2巻で完結することは意外である。しかも、見どころはダンジョン攻略そのものよりも、領主一行との対決である。自分では有能と思っている領主のメッキが剥げていく様が見物である。アニメでは現在の出来事だけが描かれたが、原作では登場人物の背景が説明されており、奥深い。漫画とアニメの表現手法の差違を実感する。

アラジンが領主に下す「すごい人には見えない」との評価が印象的である。自己責任が強調される新自由主義経済において、金を稼げる人が立派であるとの風潮が生まれた。しかし、そのような人々が人間的に立派であるとは限らない。高級マンションに居住し、高級レストランで食事し、高級車に乗っても、値段が高いだけで一般人の消費活動の延長線上にあり、新しい価値を生み出していない(林田力「『紅い棘』 奥菜恵著」オーマイニュース2008年5月1日)。
http://www.hayariki.net/7/47.htm
それよりも主人公アリババのような行動こそが心に響く。現代社会に置き換えるならば虐げられた人々、マンションだまし売り被害者やゼロゼロ物件被害者との連帯である。東急不動産だまし売り裁判原告として闘い、二子玉川ライズ反対運動と連帯する立場として(林田力『東急不動産だまし売り裁判こうして勝った』)、アラジンの人物評は共感するところ大である。

0 件のコメント:

コメントを投稿