2012年12月19日水曜日

中村光『聖☆おにいさん』林田力wiki書評

中村光『聖☆おにいさん』は『モーニング・ツー』(講談社)で連載中のコメディ漫画である。目覚めた人・ブッダ(釈迦)と神の子・イエス・キリストがバカンスで下界(現代日本)に降りてきて、東京都立川の安アパートで共同生活を送るという設定の際どい作品である。

ギャグテイストの中でも深い宗教理解に通じる真実味を感じさせる描写がある。『聖☆おにいさん(7)』(2011年)では「血の涙を流すマリア像」の秘話や天草四郎のエピソードなど宗教ネタが盛りだくさんであった。さらに神の子として宿命づけられたイエス・キリストが大工の息子として普通の生活を送っていた頃の苦悩である。
http://www.hayariki.net/3/45.htm
『聖☆おにいさん(8)』(2012年)ではアイドルグループのコンサートでファンが熱狂する光景を宗教団体の集会と勘違いする。『聖おにいさん』はマニアックな宗教上のエピソードを背景にしているが、一神教の根本からは逸脱している。イエスが他の宗派を肯定的に評価することは考えられない。世界に例を見ないほど宗教性の薄い日本社会だから成立する作品である(林田力「宗教ネタが深まる『聖☆おにいさん』第6巻」リアルライブ2010年12月31日)。

後半は沖縄旅行である。高級ホテルの宿泊を逆に苦行と捉える発想が痛快である。高級車に乗り、高級マンションに住み、高級レストランで食事したところで庶民生活と質的に異なる文化を生み出している訳ではない(林田力「『紅い棘』 奥菜恵著」オーマイニュース2008年5月1日)。価格に踊らされる消費生活の虚しさを実感する。

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