2012年12月7日金曜日

『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』林田力facebook書評

Ark Performance『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』は機動戦士ガンダムの外伝的作品である。一年戦争末期のジオン公国を舞台とし、要人暗殺テロを追う公安捜査官が主人公である。ミステリー仕立てでモビルスーツの出番は乏しい。ガンダム世界の奥深さを味わえる作品である。

ガンダム世界で救い難い悪の組織は、実は連邦である。連邦の腐敗、堕落、差別、官僚制はどうしようもない。まるでドラッグ中毒患者のようである。『ギレン暗殺計画』はジオン公国内の話であり、不愉快な連邦は描かれない。『ギレン暗殺計画』で描かれたジオン社会はナチス・ドイツや大日本帝国のような専制ではなく、自由や人権という概念もある。ギレンも力で押さえるだけの独裁者ではなく、巧みな人身掌握術を持っている。
http://www.hayariki.net/6/59.htm
傀儡のジオン公国首相ダルシア・バハロがギレンへの反抗を決意した契機をコロニーレーザー砲開発とすることが興味深い。コロニーレーザー砲開発のためにコロニー住民は住居を失い、移転しなければならなくなった。傀儡首相は「国民の住居を守れなくて何が政治家だ」との怒りを抱く。安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でもデギン・ソド・ザビ公王がギレンを無視して和平に動く理由としてコロニーレーザー開発を批判させる。スペースノイドの故郷を奪う政策を悪魔の所業と批判する。

現代日本では再開発や道路建設を理由に追い出しが行われている。二子玉川ライズや十条駅西口地区第一種市街地再開発などである(林田力『二子玉川ライズ反対運動』)。開発業者やゼネコンの金儲けのための開発が公共の福祉の名の下に正当化される。ジオンの政治家の感覚に学びたいものである。

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